写真は、BAの広報を担当するPR会社の方が以前送ってくれた機内の様子です。スタイリッシュなボディだけに、中はかなり狭い。右のカットは「窓もこんなに小さいです」と実際にコンコルドに搭乗した人から届いたそうです。私はついに乗る機会に恵まれませんでしたが、手の大きさと比較すると、たしかにこぢんまりした窓ですね。それにしても、この最終便に搭乗できた人たちは何と幸運だったことでしょう。同便の航空券は、一人当たり4,350ポンド(約80万円)という高額にもかかわらず売り出し当日に即日完売。最終便のチケットをインターネットのオークションで入手した米国の夫婦は二人分で3万7,000ポンド(約686万円)を支払ったという噂も流れています。そこまでしても一度は乗ってみたいと思わせる魅力が、コンコルドにはあったのですね。
英仏両国が共同開発し、初飛行に成功したのが1969年。76年に商業運航をスタートし、ロンドンやパリとニューヨークを3時間45分で結んできました。最高速度はマッハ2を超え、通常は7時間程度かかるロンドン・パリ―ニューヨーク間を半分に短縮したことになります。世界一速く美しい旅客機と称され、独特の翼の形状から“怪鳥”の名で親しまれました。
その怪鳥も、時代に流れには勝てなかったようです。燃料費の高騰などで採算が合わず、開発した英仏の航空会社のBAとエールフランス(AF)が運航するのみでしたが、2000年7月にはエールフランスのコンコルド機墜落事故(死者113人)がパリ近郊で発生。世界に衝撃が走りました。事故後は両社ともに巨額の機体改修費の負担を余儀なくされ、2001年11月まで運航を停止していた経緯もあります。さらに「9.11 米同時多発テロ」による大西洋線の旅客数激減などの影響を受け、AFは2003年5月で運航打ち切り。BAも10月24日でコンコルドの運航を終了すると発表したのです。