◆滑走路に書かれた数字
旅客ターミナルを離れると、機はいよいよ離陸するために滑走路へ。その滑走路の末端に、みなさんは2ケタの数字が記されているのを見たことはありませんか? この数字、実はそれぞれの滑走路がどの方角に向いているかを示すものなのです。
航空の世界では、真北を360として方角を時計回りに数字で表します。たとえば東は090、南は180、西は270といった具合に。北東は045となり、この方法を使えば、すべての方向を3つの数字で指示できるわけです。これは船舶などでも使われている表示方法ですね。新しく空港をつくる場合、ただ土地が準備できたからといって、すぐに建設できるわけではありません。その前の段階として、空港周辺の風向きを徹底して調べる作業が必要になります。飛行機は翼に風を受けて揚力を発生させるため、飛行機に向かって真正面から風が吹くことがベスト。そこで空港建設の際には、数年間を費して厳密なデータをとり、その地域にもっともよく吹く風上に向かって滑走路を整備するのです。
もちろん、いつも風向きが一定方向とは限りません。そこで大規模な空港では、横風に備えた滑走路が併設されることになります。たとえば「滑走路32」という表記は、下1ケタを切り捨てた320度の方向、つまり飛行機から見て北西に向いた滑走路を示しています。同じ滑走路を反対側から南東に向かって使用する際にはそれが「滑走路14」となる。また同じ向きの滑走路が並行して2本ある空港では、「滑走路32L(左)」「滑走路32R(右)」と表示されています。
◆「第一種空港」って、何?
滑走路に関する話を、最後にもう一つ。日本では現在、新東京国際空港(成田)、東京国際空港(羽田)、関西国際空港、大阪国際空港(伊丹)の4つが第一種空港として位置づけられています。この第一種空港とは「国際路線に必要な空港」として空港整備法で規定されている空港で、その一番の特徴はいずれも長い滑走路を完備していることでしょう。
では、滑走路の長さはどうやって決まると思いますか? 滑走路の長さを決めるには3つの条件が必要です。1つは飛行機が離陸するのに必要な長さ、2つ目は飛行機が着陸するのに必要な長さ、そして3つ目が最も大切となる、離陸滑走中にアクシデントが発生した場合に急ブレーキをかけて安全に止まるための長さです。飛行機は、機体が重くなればなるほど、止まるためには距離が必要になる。たとえば東京から大阪へ向かうジャンボ機(B747)の重量は、乗客数や貨物量で多少の変動はあるものの、だいたい220~230トン程度。これに対し、東京からニューヨーク便へ飛ぶジャンボ機になると、重量は400トン近くにもなります。長距離を飛ぶ国際線は燃料をたくさん積むので、機体はそのぶん重くなり、急ブレーキをかけて止まるために必要な距離も長くなる。国際空港で長い滑走路が必要になるのはそのためです。
成田、羽田、カンクウ、伊丹の4空港は、いずれも日本を代表する3,000メートル以上の滑走路をもち、施設も大きく、この4つの空港だけで国内線・国際線を合わせて年間約1億人が利用しています。
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