セスナ社は1927年に発足以来、ビーチ、パイパーと並ぶ3大軽飛行機メーカーのひとつに数えられてきました。「セスナ」と聞くと、真っ先に軽飛行機を思い浮かべる人も多いようです。

しかし今年で創業75年を迎え、その間大きな変身を遂げてきたのも事実。今日では軽飛行機よりもビジネスジェットが同社の主力製品になっている──そう書くと、意外に思う人が少なくありません。

ここで、セスナ社のこれまでの歴史をざっと振り返ってみましょう。

セスナ社は1927年9月、カンザス州ウィチタに設立されました。創立者はクライド・セスナ氏です。大恐慌で1931年に一度解散に追い込まれたものの、その後甥のドゥエイン・ウォレス氏が会社を立て直し、さらに1975年からはラッセル・メイヤー氏が経営を引き継ぎました。

世界中に普及したセスナ軽飛行機の本格生産が始まったのは戦後になってからです。その最初のモデルは複座の120型単発機(85馬力ピストンエンジン搭載)で、戦後約5年間で2,000機余りが生産されました。続く140型機はエンジン出力を90馬力に増やして約5,000機が、1957年9月に初飛行した150型機は77年までの20年間で約2万4,000機が製造されています。

複座機と並行して4人乗り軽飛行機の開発も進みました。1948年に生産がスタートした170型機は、145馬力コンチネンタルエンジンを搭載し、8年間で5,000機余りが製造されました。そしてこれに代わる172型スカイホークは160馬力にエンジン性能を上げ、1956年から大量生産に着手。78年末までに3万機以上が生産され、世界で最もポピュラーな軽飛行機となりました。

しかし1980年代に入ると、事故や商品の欠陥に伴う訴訟問題が相次いで発生。86年にはついに生産中止に追い込まれてしまいます。カンザス州インディペンデンスの新工場で172型スカイホークなどの製造が再開されるまで、じつに10年の歳月を要しました。