■エンジンスタート
機体がトーイングカーに押されてターミナルから離れつつある間、機長と副操縦士には4つのエンジンを順次始動させるという大切な仕事があります。通常は進行方向右側のエンジンからスタート。ジャンボ機なら、ナンバー4、3、2、1エンジンという順です。
整備士と緊密な連絡をとりながら、機長がスラストレバーの下部分にあるエンジンスタートレバーに右手を添え、副操縦士がオーバーヘッドパネルにあるエンジンスタートスイッチに左手を伸ばしてスイッチをオン。APU(補助動力装置)からの高圧空気がエンジンのスターターに流れ、巨大なエンジンがゆっくりと、力強く回転を始めます。
スターターというと、ふつうは自動車のように電気で作動するものを思い浮かべるかも知れません。しかしジャンボ機の大型エンジンは、電気ではトルクが不足して動かない。したがって空気駆動のスターターで始動することになります。
エンジンが回転したことを確認すると、機長は燃料コントロールスイッチを「RUN」側に倒します。こうすることでジェット燃料が燃焼室に流れ、ここで点火されるとエンジンは自動運転になります。
エンジンが始動すると、副操縦士はAPUスイッチをオフに。一度エンジンがスタートすれば、もう駐機中の電源をまかなう小型エンジンのAPUは必要がなくなるからです。