まず厳しい現実に直面しなければならないのは、関西国際空港です。
たとえばニューヨークやワシントンDCからアジアへ向かう路線では、給油や乗り継ぎなどのために日本を経由する便が少なくありません。そのアジア・太平洋路線に航続距離1万6,000キロクラスの機種を投入することで、わざわざ日本の空港を経由する必要がなくなります。米国東海岸からノンストップで飛べる限界が、日本を中心とする東アジア圏から、中国南部やシンガポール、マレーシアなどの東南アジア圏に拡大するからです。
米国とアジアの主要都市を結ぶ直行便が増えることは、アジアの他の空港の優位性を高める結果につながるでしょう。国際ハブ空港をめざす関西国際空港にとっては強力なライバルの出現です。
実際、ある旅行会社では、関西からヨーロッパなどへ向かうツアーの参加者の集合場所を、従来の関空から香港国際空港や韓国の仁川国際空港などに移す検討を始めたといいます。また取材でお会いした大手旅行代理店のスタッフは、次のように話していました。
「アジアの空港は最近、岡山や広島、松山、福岡など西日本の各空港と直行便で結ばれるようになり、非常に便利。少人数ずつでも各地方から参加者を募れば、ツアーとして十分成り立つ人数が集められるようになりました」