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夫の急死で発覚した「数々の借金」、生命保険の解約まで……愛した夫の「もう1つの顔」

大学時代からの友人だった夫と28歳で結婚し、2人の子どもにも恵まれた44歳女性。家族仲よく暮らしてきたが、ある日、夫が急死。悲しみに暮れる彼女に追い打ちをかけたのは、これまで知らなかった夫の借金だった。※画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

人間関係 ガイド

どうして男女は愛し合い、憎み合うのか。日々、取材を重ねつつ男女関係について記事や本に書きつづっている。近年は家族・友人・職場などの人間関係全般や、お金が絡む人間関係のトラブルについても執筆。『くまモン力-人を惹きつける愛と魅力の秘密』など著書多数。

(画像:PIXTA)
夫の死後、借金が発覚して……(画像:PIXTA)

ある日突然、夫が急死。それだけでもショックなのに、その後、夫の借金が発覚したら……。「地獄にいるような気持ちだった」と語る女性の本心とは。

仲のいい家族だった

「仲がよかったんです。大学時代からの友達で、卒業後、たまたまお互いにフリーのときに再会。ああ、やっぱりこの人とは気が合うなあと思っていたら、彼もそう思っていた。お互いに盛り上がって28歳のときに結婚しました。周りからは『そういえば大学時代から仲がよかったよね』と言われたけど、当時はただの友達としてしか見ていなかった。社会人になって再会して気付いたら大事な人になっていたんです」

シオリさん(44歳)は、夫との馴れそめをそう語る。30歳で娘を、2年後に息子を授かった。夫は「家族仲よくが一番」と、自ら家庭を盛り上げてくれるタイプだった。週末には必ず家族でどこかへ出掛けた。それが近所の公園であっても、子どもたちは無邪気に楽しんでくれたり、成長してからも夫が「今日は餃子を作るぞ」といえば、遊びに行くのを中止するほどだった。子どもたちも父親が大好きだったのだ。共働きだったから、シオリさんも夫も、週末は子どもたちとの時間を優先させた。

「今年のお正月も家族で初詣に行きました。大晦日はずっと起きていてみんなでゲームをして、その流れで近所の神社に初詣。帰ってきてから少し寝て、お雑煮を食べてまたゲームをして……。2日は家族で寄席に出掛けたんです。夫が落語好きで、その影響で私も子どもたちも好きになって。よく遊んだ三が日でした」

夫の突然の死に呆然

夫もシオリさんも、今年は6日が初出勤だった。ところが昼ごろ、シオリさんは夫の勤務先から、夫が倒れたと連絡を受ける。何がなんだか分からないまま搬送先の病院に駆けつけると、夫はすでに亡くなっていた。

「朝、一緒に家を出たんですよ。同じ電車に乗って、乗換駅で帰宅時間を確認しあって、『じゃあね』と手を振って別れた。ほんの6時間ほど前ですよ。それなのに目の前の夫は動きもしない。涙も出ませんでした。急いでやってきた子どもたちも呆然としているだけだった」

大動脈解離、ほぼ即死のような状態だったのではないかということだった。そういえば数週間前、「なんだか背中が張る」と言っていたことがあったけど、あれが前兆だったのだろうかとかいろいろ考えたが、結局、原因は不明だと言われた。

悲しみに暮れていたら

慌ただしく通夜と葬式を行った。現実感がないまま日常が戻ってきたが、1週間の忌引きの間、シオリさんは何もする気になれなかった。

「子どもたちも私も、夫の死を受け止められないんですよ。どうしたらちゃんと生活できるのかも分からない。私の母が心配し、上京して家事を担ってくれました。『あなたが食べなきゃダメ。一人で子どもたちを育てていかなければいけないんだからね』と言われて、ようやく現実感がともなってきた。お葬式から3日たって、初めて号泣しました」

それからは必死だった。とにかく会社に行くこと、子どもたちを学校に行かせることだけを考えて前に進もうとした。だが、彼女は別の衝撃も受けることになる。

「夫の勤務先から私物などが送られてきたんです。いろいろ事務処理もしなくてはいけないので、勤務先の担当者とやりとりしていたら、夫がやっていたはずの社内預金が10万円ほどしかないという。夫は生前、数百万は貯まっていると言っていたのに」

そこからぽろぽろと夫の嘘が伝わってきた。夫の生命保険もいつの間にか解約されていた。シオリさん夫婦は共働きのため、生活費を収入に応じて負担、あとはそれぞれが預金するという取り決めだったから、彼女は夫の預貯金額を知らなかった。

「夫の会社の借り上げ住宅に住んでいたので、そろそろ家を買おうかという話も出ていたんですよ。夫はどういうつもりだったのか……。しかも、預金するはずのお金を何に使っていたのか、生命保険はどうして解約したのか。分からないことだらけでした」

同僚や友人から借金をしていた夫

あげく、担当者は「言いづらいんですが」と、夫に個人的にお金を貸していた社員が複数いると言った。額は一人当たりせいぜい10万程度なのだが、10人はくだらないという。さらに学生時代の友人たちからも、「実は貸した5万を返してもらっていない」「オレは3万」などという声が届いた。

「夫は浪費家ではなかったし、スーツだってめったに新調しなかった。子どもたちに高価なおもちゃを買うわけでもない。夫の両親に送金もしていませんでした」

今もまだ、夫はどこかに貯金を隠しているのではないかとシオリさんは思うことがあるという。夫の借金は分かる範囲でシオリさんが返済した。総額で200万ほどだった。

「お金に細かい人ではなかったけど、おごりまくったり豪遊したりするタイプじゃないから、本当に混乱しました。これからもまだ出てくるかもしれません。夫は本当に家族を愛していたのかという疑問も出てきた。いつかこの謎を解きたいと思っているけど、今は子どもたちと早く、夫のいない生活に慣れなければと思っています」

裏切られたのか、夫には何か事情があったのか。少なくとも自分の見ている夫と、他人の見ている夫とは「同一人物だけど異なる人」なのかもしれないとシオリさんは考え始めている。

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