Q. 予防接種を受けてもかかることがあるなら、ワクチンはムダですよね?

「去年はインフルエンザの予防接種を早めに受けたのに、結局感染して、高熱でダウンしてしまいました。わざわざ病院に行って自費で受けたのに、ワクチンの意味なんてなかったのかも……と思ってしまいます。今年は打たなくてもいい気がしますが、実際にどれくらい効果があるのでしょうか?」
A. ワクチン接種をしても感染は防げません。しかし大きな意味があります
インフルエンザワクチンを打っても、ウイルスが体内に入ること自体は防げません。ウイルスは変異しやすく、100%の予防は難しいためです。よく誤解されるのですが、ワクチンの役割は感染自体を防ぐことではなく、抗体の力で発症や重症化を防ぐことなのです。
特に重症化しやすい乳幼児や高齢者の場合、
- 乳幼児……発病をおよそ20~50%防ぐ
- 健康な65歳以上の高齢者……発病をおよそ45%、死亡をおよそ80%防ぐ
効果があると報告されています。効果が十分に発揮されるまでには接種から約2週間かかり、持続期間はおよそ5ヶ月とされています。感染しても症状が出る前に増殖が抑えられ、無症状で済むこともありますが、自覚症状がなくても周囲にうつす可能性がある点には注意が必要です。
そして、インフルエンザの合併症の中でも特に怖いのが「インフルエンザ脳症」です。免疫の異常な反応によって急激に意識障害やけいれんなどの神経症状が現れる病気で、2009~2015年には国内で748例が報告されています。2015/2016年は224例、2016/2017年は125例、2017/2018年は171例、2018/2019年は234例、2019/2020年は258例、2020/2021年は0例、2021/2022年は1例、2022/2023年44例、2023/2024年は189例とインフルエンザの流行によって変わってきます。特に0~19歳に多くみられ、適切に治療を行わなかった場合の致死率はおよそ30%にものぼる危険な病気です。近年は適切な治療が行われることで、致死率は10%以下まで下がっていますが、回復後も15%にてんかんや発達障害などの後遺症が残ると考えられています。決して軽く考えてはいけない病気です。
このような重い合併症を防ぐ意味でも、ワクチン接種は非常に重要と言えます。インフルエンザワクチンの接種のポイントは以下の通りです。
- 流行が本格化する前、遅くとも12月上旬までに接種を済ませる
- 流行の立ち上がりが早まる年もあるため、10~11月頃の接種を意識する
- 接種後も手洗い・うがい・換気など基本的な対策を続ける
- 接種有無を問わず、体調がすぐれないときは無理をせず、周囲へうつさない行動を心掛ける
予防接種を受けたのに発症してしまった場合でも、決してワクチンが無駄だったわけではありません。毎年の接種を続け、正しく分かった上で活用することが、自分と大切な家族を守ることにつながります。
さらに詳しく知りたい方は、「予防接種を受けてもかかる?インフルエンザワクチンの『効果』とは」をあわせてご覧ください。







