60代からは「いくら増やすか」だけではなくなる
60歳を過ぎても、資産運用は続きます。仮に65歳で退職したとしても、その後20年、30年と生活する可能性があります。退職した日に投資信託を全て売り、預金だけで暮らすのも1つの方法ですが、物価が上がれば現金の実質的な価値は目減りします。

一方、資産の大半を株式に置いたまま取り崩しを始めるのも不安があります。相場が大きく下落したときに売却すれば、その後の回復局面で運用する元本まで減ってしまうからです。
そこで60代では、「増やす資産」と「使うための資産」を少しずつ分けて考えてみます。
セゾン・グローバルバランスファンド
「株式だけでは心配だけれど、運用をやめるつもりもない」という人には、株式と債券を組み合わせたバランスファンドがあります。
セゾン・グローバルバランスファンドは2007年3月に設定されたファンドで、世界の株式と債券に分散投資します。基本となる資産配分は株式50%、債券50%です。
60代にとってこの「半分ずつ」という配分は分かりやすさがあります。株式を残すことでその後の成長を期待しつつ、債券も組み入れることで株式100%とは違った値動きになります。
自分で「株式を5%売って債券を5%買おう」といった調整を繰り返さなくても、1本のファンドで資産配分を管理できるのも特徴です。
なお、2026年8月には純資産総額が7000億円に到達し、実質的な信託報酬は年0.56%±0.02%程度(税込)です。そして、購入時手数料と信託財産留保額はありません。
eMAXIS Slim 国内債券インデックス
60代では、近いうちに使うお金は預金などで確保しつつ、運用を続ける資産については株式だけに偏らせないことも大切です。「eMAXIS Slim 国内債券インデックス」は、日本の国債を中心とする国内債券市場への連動を目指すインデックスファンドです。信託報酬は年率0.132%(税込)です。
国内債券は外国債券と違って為替変動の影響を受けません。株式市場が大きく下落したときに、生活費のために株式を安値で売却する状況を避けるため、株式とは異なる値動きをする円建て資産を組み入れるという考え方です。
ただし、国内債券ファンドも元本保証ではありません。足元では国内金利の上昇を背景に基準価額は下落傾向にあり、さらに金利が上昇すれば債券価格が下がる可能性があります。「安全資産」と考えるのではなく、こうしたリスクを理解したうえで、資産の一部として組み入れることを検討しましょう。
ニッセイグローバルリートインデックスファンド<購入・換金手数料なし>
守る話ばかりになりましたが、60代だからといって値動きのある資産を全て避ける必要もありません。
3本目は、日本を除く世界のREIT(不動産投資信託)に投資する「ニッセイグローバルリートインデックスファンド<購入・換金手数料なし>」です。
S&Pグローバルリートインデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース)への連動を目指し、NISAでは成長投資枠の対象です。信託報酬は年率0.297%(税込)。原則として為替ヘッジは行いません。
REITは、オフィスや住宅、物流施設などの不動産から得られる賃料を主な収益源としています。株式や債券とは違う資産を持ちたい人には1つの候補になります。
ただし、60代向けとして紹介しているからといって、「安全資産」というわけでありません。REITは金利上昇や不動産市況の悪化で大きく値下がりすることがありますし、この商品には為替変動リスクもあります。
すでに株式を多く持っている人が、さらに大きな割合をREITへ移す必要はありません。株式、債券とは違う資産も少し持っておきたい場合に検討する商品です。
60代は「運用をやめる年齢」ではない
60代になると、「もう投資で増やす年齢ではない」と考える人もいるかもしれません。しかし、退職後の生活が20年、30年続くと考えれば、資産運用まで一斉に終わらせる必要はありません。
大切なのは、積み立てていたときと同じ運用をそのまま続けないことです。
近いうちに使うお金まで値動きの大きな商品に置いておけば、必要になったときに相場が下落しているかもしれません。反対に、当面使わないお金まで全部預金にしてしまえば、その後の運用期間を生かせなくなります。
「いつ使うお金なのか」を考えて、置き場所を分ける。60代では、投資信託を選ぶこと以上に、この作業が大切になります。
これまでの資産形成が「老後のために積み立てる」ものだったとすれば、60代からは「運用を続けながら、必要な分は使っていく」段階です。資産形成から資産活用へ、少しずつ頭を切り替えていきたい時期です。
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