人間関係

「あのとき結婚していれば……」50・60代未婚者の孤独と「パートナーができない理由」

50~79歳の未婚男女2000人を対象に行われた調査によると、実に9割の人が孤独を感じているという。パートナーを求める気持ちはあるが、実際に恋愛や結婚に踏み出せない人も多い。そこにはミドル・シニア層ならではの事情もあるようだ。※画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

人間関係 ガイド

どうして男女は愛し合い、憎み合うのか。日々、取材を重ねつつ男女関係について記事や本に書きつづっている。近年は家族・友人・職場などの人間関係全般や、お金が絡む人間関係のトラブルについても執筆。『くまモン力-人を惹きつける愛と魅力の秘密』など著書多数。

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未婚のミドル・シニア層の9割が孤独だという(画像:PIXTA)
未婚のミドル・シニア層の9割が孤独だという(画像:PIXTA)

50歳以上向けのマッチングサービス「ハハロル」を運営する超楽長寿(東京都中野区)が、全国の50~79歳の未婚男女2000人を対象に「50代以上未婚者の恋愛・パートナー観調査」を行った結果、「高孤独層」が62.5%、「中孤独層」が31.5%となった。実に94%が「孤独層」だという。

60%以上がパートナーを求める気持ちをもっているが、具体的に行動している人はわずか3.8%。恋人やパートナーを求める活動には一歩踏み出せていないようだ。

別の人生があったかもしれないが

「孤独」は未婚者だけが感じるわけではないだろう。家族がいても孤独だという人はたくさんいるだろうし、そもそも人は孤独との闘いや馴れ合いで生きているともいえる。

「でも、年をとればとるほど、やはり日常生活をともにするパートナーがいた方がいいなと思うことがありますよ」

そう言うのはエリさん(64歳)だ。30代初めのころから両親が病気がちになり、仕事をしながら看病三昧の日々を送ってきた。30代半ばで結婚しようと思ったこともあったが、相手から結婚して海外赴任に一緒に来てほしいと言われて、親を置いては行けないと諦めた。

「あのとき結婚していれば、まったく違う人生があったと思うことがあります。親を置いて行けないと思っていたけど、実際は私が看病しなくても、どうにかなったんじゃないかと……」

父は亡くなり、50代で母親の介護をせざるを得なくなった。デイサービスやヘルパーさんなどの費用がかさんだが、それでもなんとか自宅で看取ることができた。

天涯孤独だと感じるとき

「だから何だという話なんですよね。母はよかったでしょうけど、私の人生はそこからようやく始まったようなもの。でももう、結婚という年齢でもないですしね。人のために生きるのは疲れた。だからといって自分のために生きる術を知らないんです」

60歳で定年となり、その後は嘱託として仕事を続けている。大企業ではないため、年金も多くはない。持ち家ではあるが借地なので、売ってもたいした額にはならないし、今さら賃貸住宅は借りられないだろうと思っている。

「友達がいないわけではないけど、みんな誰かの家族なんですよね。私はきょうだいもいないので天涯孤独です。たどれば親戚はいるだろうけど行き来がまったくないので」

何でも一人で決められるから楽だと思うこともあるが、誰とも何も相談できない寂しさもある。

「介護のように労働力として必要とされるのではなくて、気持ちが結びついた関係があればいいのにとは思いますが、この年でそういう人との関係を構築する気力もないかも」

夜中にふと目覚めて、一人でいる恐怖感から眠れなくなることもあるという。

50代同士の付き合い方とは?

「独身が長くなると、考え方も少し歪んでくるのかもしれませんね」

そう言って笑うのはシノブさん(52歳)だ。一人暮らしが長いため、誰かと生活することは考えられない。したがって結婚という選択肢は今のところないのだが、恋愛を拒んでいるわけではないのだという。

「ただ、この年齢で誰かと知り合って付き合うって何をすればいいんでしょうね。若いころのようなデートはできないでしょ」

2年ほど前、マッチングアプリで知り合った男性と会ったことがある。彼は50代半ばまで独身を貫いてきたのだが、急に「誰かと親密になりたくて」とつぶやいた。シノブさんも親密な関係は悪くはないと思ったが、毎日連絡を取り合うのが面倒だったし、会って3度目に彼がホテルへ行こうとしたのもうっとうしかった。

「私の親密は会話で心が触れあえればいいというもの、彼の方は肉体関係も含めてだったんでしょう。私だって肉体関係が絶対に嫌というわけではないんだけど、50代同士でそんな簡単にベッドインしていいのかと思ってしまって。客観視しすぎるんでしょうか」

それだけのめりこむ相手ではなかったとも言える。50代、人を見る目もできているだろう。彼を心から信頼できなかったのではないだろうか。

「高齢引きこもり」にはなりたくない

「若いときみたいに『好き』という気持ちだけになれないんですよ。平日に食事をしたとしたら、このあとホテルへ行こうという人より、『明日、早いんでしょ。今度は週末、ゆっくり会わない?』と気遣ってくれる人がいい。好きという気持ちを押しつけられても困るし」

自分の感情がストレートには動かない。気が合うと思っても、この点では合うけど別の状況になれば合うとは限らないと、先が見えてしまう。仕事をはじめ、さまざまな場の人間関係に揉まれてきたため、こういう男は信用できないという直感力も備わっている。

「それきりデートみたいなことはしていませんね。更年期もあって、最近、週末は家でゴロゴロしています。孤独ですねえ、確かに。孤独を楽しめなんて雑誌のタイトルを見たりしますが、楽しめませんよ。自分だけ世の中から取り残されているような気持ちなんです、いつでも」

あと1年で2度目の定年になるが、その後もどこかで働いていたいとシノブさんは言う。社会とつながっていないと、「高齢引きこもり」になることが目に見えているからだ。

「でも孤独を感じている人が大勢いると分かって、少しだけ気が楽になりました」

シノブさんはそう言ってほほ笑んだ。

<参考>
・「ハハロル 50代以上未婚者の恋愛・パートナー観調査」(超楽長寿株式会社)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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