
2027年にも創設が見込まれる「こどもNISA」をきっかけに、子どもの投資に関心を持つ家庭はさらに増えそうです。しかし、投資の価値はお金を増やすことだけではありません。
YouTube登録者数10万人超、「おやこde資産形成アカデミー」で1万3000人以上の親子に金融教育を届けてきたFP・にぐ先生こと谷口達也さんは、子どもの投資は「将来の仕事選びや社会への関心にもつながる」と話します。
著書『10歳の子どもには毎週1000円渡しなさい』(飛鳥新社)より一部抜粋・編集し、親子で投資先を探すことの意外なメリットを紹介します。
投資先を親子で探せばさらにお金のセンスは高まる
子どもの証券口座を作ったのはいいけれど、いざとなると、なかなか投資先を決められないという方もいます。
適当に選んで、とんでもない銘柄に投資するといい出したらどうしよう……。親が投資の初心者でもベテランでも、子どもに失敗をさせたくないという親心からそんな心配をして、なかなか決められないのかもしれません。
子どもの投資先を探すときは、親のサポートが必須です。でも、親のお金の価値観を押しつけずに投資先探しのアドバイスをするのは、なかなか難しいと感じる方もいるのではないでしょうか?
そんなときは、子どもの「好き」と思う商品やサービスから話を広げるなど、親子のコミュニケーションをもとに投資先を選んでいくことが、少額から投資を楽しむコツだと思います。
参考として、子どもの株式投資でよく名前の挙がる、子どもにも買いやすい銘柄(企業名)をピックアップしておきますね。

ただ、子どもの株式投資では、株価情報よりも、まず家の中や生活圏を見回してみることをおすすめします。食品や日用品のメーカーをはじめ、外食チェーンなどにも上場している企業がたくさんあります。子どもがどの会社を応援したいかについてたずね、親子で話し合って投資先を決めることが一番の近道です。
私のアカデミーの授業では、これから伸びそうな投資先を探すときに「未来の当たり前になる会社を考えてみよう」という話をします。今の当たり前ではなくて「未来の当たり前」を想像して、親子で考える時間も楽しいものですよ。
なぜ株式投資を経験した子どもは、就職活動で「会社選び」に迷わないのか
私が子どもの投資に、価格の変動が大きくリスクもある「株式投資」をすすめるのには、理由があります。
当然ですが、リターン(収益)の大きさが理由ではありません。ひとつの企業を応援する気持ちで出資する株式投資は、社会の仕組みや企業、業界などを知るきっかけ、動機になると考えているからです。
株式投資を経験しながら子どもが大きくなったとき、きっと予想以上に、就職活動にも役立つと思うのです。
就活の時期になって初めて真剣に企業を調べだすと、社名は知っていても「一体、何をやっている会社なんだろう?」「何だ、この業界は?」といった、よくわからないことが山のように出てきます。
まだ社会経験のない学生ですから、当たり前ですよね。限られた時間で志望の会社も絞らないといけないので、結局、初任給や年収、福利厚生など、自分が理解できるわかりやすい条件で選ぶことになりがちです。
もちろん、雇用条件は会社選びの大事な要素ですが、見比べるべき重要なポイントは、ほかにもたくさんありますよね。
株式投資を経験していれば、投資先を考えるときに、その企業や業界を多少なり調べてから買うものです。少額でも株主になれば、応援したい気持ちから、その企業や業界の動向などが気になり、知りたいと思う子どもはたくさんいます。株価が上がっていれば、より興味を持つ子どもが多いでしょう。
投資をしてきた子どもが大きくなって就活をするとき、自分が投資した企業や気に入った業界をベースにして考える人は、多いのではないかと思います。
そもそも、好きな商品やサービスを提供している会社、応援したい会社への投資をすすめていますから、自分が推してきた会社にしてみようと思う可能性は高いです。「御社に〇歳の頃から投資してきました」「この業界に興味を持ったきっかけは投資からです」など、入社試験の面接にも個性が出て、有利に運ぶ可能性だってあります。
また、親にもメリットがあります。子どもの投資をサポートしていると、ふだんの学校の話などでは出てこない話題が増えたり、子どもが興味のある分野を知るきっかけも増えます。
投資先を調べることをきっかけに、働いてみたいと思う企業や業界、職種が生まれたら、オコヅカイギで打ち明けてくれるかもしれません。
「買ったきり無関心」になってもOK! 長期保有がもたらすプラスの影響
もちろんなかには、最初に株式や投資信託を買ったきり、無関心になってしまう子どももいます。でも、大きくなって気づいたら「価値が上がっている!」と驚いたという話も。
そうした価格の変動を目の当たりにし、それをきっかけに再度投資に興味を持つ子どももいるので、長期保有を前提にルールを守って投資をすれば、いろいろな形で、子どもの将来にプラスの影響を与えてくれるはずです。
子どもがなるべく小さいうちに、家庭でしかできない金融教育として「おこづかい制度」を実践して、そのなかで「投資」も少しずつ、ぜひ取り入れてみてください。
お金を介して、親子のコミュニケーションがより密になることはもちろん、就職に、資産形成に、子どもの将来がより豊かになることを心から願っています。
この書籍の執筆者:にぐ先生 (谷口達也)
「なにも売らないFP」。1985年、岐阜県生まれ。株式会社マネーシフト代表取締役。 大手証券会社を2社経て独立後、現在のFP法人を設立。主に金融教育事業を行ってお り、大人向けだけではなく、小中学生向けにも「おやこde資産形成アカデミー」という金融教育事業を展開中。全国規模の教育委員会から後援を受けたイベントとなり、オ ンライン授業で全国を対象に開催。受講者はのべ1万3000人(2024年12月時点)。これまで後援を受けた教育委員会は120自治体を超える。YouTubeチャンネル『【大人のためのFP教室】教えて!にぐ先生!』の登録者は10万人。






