
高校もいろいろ個性があるのだろうが、おしなべて規則や規律が厳しくなっている。そもそも義務教育ではない上に、高校3年生になれば18歳、成人である。それなのに規則で縛るのは無理があるのではないか。
「かつて私が通っていた都立高は、制服はなくて標準服。大半が私服でした。帰りに映画館や喫茶店に寄ったりもしたし、パーマや化粧も普通でした。でも決して派手になることはなかった。教師からは『おまえたちを“大人”として扱う』と入学式のときから言われていた。『だけど何か法に触れることをしたら、未成年だから親の名前が出る。そこは自ら責任をもって生きろ』って。そう言われたら、自分たちでいろいろ考えざるを得ない」
50代のマリさんはそう言う。現在も都立高校では私服で通える学校が多数存在する。一方で、制服が好きでその学校へ行くという生徒もいるだろう。それは個々の選択である。だが、その制服を巡って保護者たちの間では、さまざまな不満や不信があるようだ。
スカート丈に厳しすぎる
多くの高校では、女生徒のスカート丈をきっちりとは決めていない。1年生のときはだいたい膝丈のまま履き、様子を見ながら2年生になって丈を短くすることが多いようだ。学校側もあまりに短くなければ容認しているのだろう。
「うちの娘なんですが、つい先日、教室で若い女性教師にいきなりスカートをめくられ、『丈詰めてるでしょ。次の制服販売日にスカート買い直してね』と言われたそう。私は制服なんて子どもが好きなように着ればいいと思っているので、丈詰めましたけど、いきなりそういう態度に出るってパワハラだしセクハラでしょと腹が立ってしまって」
憤まんやるかたないといった口調で、シズカさん(45歳)は言った。丈を詰めているといってもとんでもなく短いわけではない。「ダサい」から「かっこいい」程度に変えただけ。教師がスカートをめくったのは、そのスカートはレインボーカラーの糸で裾のまつり縫いがされているからだ。つまり、レインボー糸のあるなし、あるいは位置で丈詰めをしたかどうかが分かるようになっているのだ。
教師がやるべきことは他にあるのでは?
「確かにスカートが届いたとき、やけにカラフルな糸でまつり縫いがされているなあ、何か裏があるのかなと思っていたんですが、めくってチェックするとは……。ブラック校則がいろいろ言われているこの時代に、うちの娘の学校も含めた一部では、さらに規制強化に向かっているようです」
さらりと買い直してねと言われたものの、スカート1着1万5000円はするという。スカートを買い直すと、学校にとって娘にとって、何かいいことがあるのだろうか。
10代半ば過ぎの女の子にとって「おしゃれ」は大事だ。多少スカートを短くすることで娘の気持ちが楽しいと思えるなら、それは教育としては有益なわけだ。親としては「くだらないことに目を光らせないで、もっとちゃんと教育者として指導力を向上しろ」と不信感がわいてくるに違いない。
ブラック校則は今も存在する
「ブラック校則」が話題になって10年近くたつが、伝統だからとか子どもの教育のためとか言いながら、結局は「管理」が主体になっている教育界が見えてくる。
「うちの娘はもともと地毛が茶系なんですよ。私立の高校に入学したとき、黒に染めろと言われました。でももともとの色だからと私たち親がはねつけたら、地毛が茶色だという証明書を出せと。親と美容院で一筆書けということでした。書いたら書いたで、『他の生徒の手前、本当は黒く染めてほしい』と言われて……。薬剤で肌が荒れたらどうするつもりですか、そもそも本人をまるごと受け止められないなんて、それでも教育者なんですかとケンカ腰になってしまいました」
数年前のできごとを、苦笑しながら話してくれたユウコさん(48歳)。そもそも髪を染めることがどうしていけないのか分からないし、黒でなければいけないというのも偏見に過ぎない。
不登校になるケースも
「その学校には外国人の子などもいたんですが、彼らには何も言わない。日本人の子は黒くないといけないって、本当にくだらないですよね。思い出しただけで腹が立ちますが、娘の手前、なんとか我慢しました」
ユウコさんの友人の子が通っていた学校では、下着の色は白と決められ、実際に女性教師が女生徒の下着を確認していたという。さすがに今は改善されたようだが、白いシャツの下に白いブラを強要されて本当に嫌がって不登校になったケースもあるという。
髪形においてもポニーテールやツーブロックはダメなど、今も個人のプライバシーと自由を侵害するような校則は現存している。
高校生なら自分たちで声を上げる、あるいは保護者たちの意見をまとめて学校に提出するなど、何か行動を起こさないとなかなか「変える」ことはできないようだ。







