2026年4月、在職老齢年金制度が改正され、働きながら受け取る年金の「支給停止」となる基準額が引き上げられました。
これにより、働く意欲のあるシニアが増えると期待される一方で、実際の雇用現場ではシニアと企業の間にギャップが残っているようです。
シニア人材サービスを展開する株式会社マイスター60(東京都千代田区)が、2026年4月17日に発表した調査結果から、その実態が見えてきました。
制度を知らない企業では「シニア雇用を見直す」が1割にとどまる
同社は2026年3月、シニアを雇用する企業の人事担当者500名を対象に調査を実施(※1)。その結果、全体の約半数(49.4%)が「シニアの雇用を増やす、または勤務条件を見直す」と回答しました。
特筆すべきは、制度の認知度による差です。制度改正の内容を理解している企業に限ると、78.1%が同回答をしている一方で、制度改正を知らなかった企業ではわずか9.9%にとどまりました。この結果から、制度への認知の有無が企業の雇用方針を大きく左右している実態が分かります。
「短日数で働きたい」シニアが多数、でも求人は少ない
さらに、働き手となるシニア側のニーズとのミスマッチも浮き彫りになりました。
同社が別途実施している60~74歳のシニア1000名調査(※2)では、就業意欲のある非就業シニア(200名)のうち、およそ7割が短日数(週2日以下:10.5%、週3日程度:38.0%、週4日程度:23.5%)であれば無理なく働き続けられると回答。
ところが企業側では、週4日以下などの短日数求人を「出したことがない」と答えた割合が全体の52.2%に上りました。
短日数求人を出さない理由として最も多かったのは「そもそも検討したことがない」(30.7%)、次いで「正社員との処遇差が出て不公平になる」(22.2%)、「社内で短日数雇用の制度がない」(20.7%)といった結果でした。
制度や費用の問題以前に、前例がなく検討する機会自体がないことも大きなハードルとなっているようです。
実はできる?「週2日+週3日」で分担する働き方
一方で、企業側もシニア雇用に消極的なわけではありません。具体的な運用イメージさえ持てれば、受け入れ態勢は柔軟に変わり得るという結果も出ています。
冒頭調査の500名に、1つのポジションを「週2日の人」と「週3日の人」で分担する「分業モデル」について聞いたところ、「十分実現できる」(20.8%)と「工夫すれば実現できる」(43.0%)を合わせ、63.8%が前向きな回答をしました。
年金収入と給与を組み合わせながら、長く働き続けたいシニアにとって、今回の制度改正は追い風となっています。実際に仕事の選択肢が広がるかは、企業が働き方の設計を見直せるかどうかにかかっているようです。
【出典および調査概要】
企業のシニア雇用に関する実態調査(※1)
有効回答数:60歳以上のシニアを雇用している企業(人事業務に携わる担当者500名)
調査期間:2026年3月19日~22日
調査方法:インターネット
シニアの就業意識に関する調査(※2)
有効回答数:60~74歳の1000名(就業中シニア800名、直近3年以内の就業経験があり、条件次第で働きたいと回答した非就業シニア200名)
調査期間:2026年1月26日~28日
調査方法:インターネット






