《温泉の由来》:聖武天皇の頃(724~748年)にこの地を訪れた僧「行基」であるという説、また修行中の山伏が見つけたという説、手負の熊の後をつけた猟師が見つけたという説の三説あるそうですが.いずれにても、かなり古くから知られた湯で有ることには違いありません。
それでも、観光やスポーツで訪れるようになったのはごく最近の事のようです。特に長野オリンピックを契機として自動車道路が整備されてからは、越後に近い奥信濃のこの地にも比較的容易に訪れる事が出来るようになりました。
《温泉街の情緒》:何度か訪れている私にとって、この野沢温泉村は、温もりを感ずる街です。唯温泉があるからというだけでなく、街全体も下町風、路地も狭く入り組んでいて、温泉街にもかかわらず、遊興風でなく素朴な佇まいで、街のあちこちに点在する外湯も、村の共同浴場だから、村人との語らいにも旅人を歓迎する温もりを感じます。
写真の天然記念物「麻釜(おがま)熱湯湧出場」は、野沢温泉を語るとき筆頭にあげられる風物詩です。90度を越える熱湯の湧き出る湯だまりがあって、卵や野菜を茹でたり、野沢菜を洗ったり、村の共同の台所であり、社交場でもあります。
《外湯》:13ヶ所ある外湯は、どれも無料で利用できます。湯に入る資格は、地元の人か、野沢温泉の宿利用の人に限られるのが建前ですが、チェックされるわけではありません。利用時間は朝の5時頃から夜の11時までで、深夜は利用できません。
湯守(湯仲間という)の当番がいて、開湯・閉湯の際にメンテナンスしています。野沢温泉の湯はどれも高温ですから深夜も放出され続ける湯は、朝は熱くなっていて入れません。水道水で温度を下げる訳です。運用費で水道代が一番高くつくというのも頷けます。
外湯の場所は遠くても、大湯を中心にして徒歩10分内外の場所にあります。
温泉街の中心をなす「大湯」の入り口には、薬師三尊が、他の十二湯の入り口には、薬師三尊の佛徳を守る十二将神が、上部に安置(安置仏)されていて、下にお賽銭箱があります。外湯巡りのスタンプも備えられています。
湯室は男女別にあります。中にはいると大部分の湯屋内は、脱衣所と湯船が直結していて脱衣は棚へ入れることになっています。また体を洗うところは特に用意されていません。
それぞれの外湯何れも硫黄の臭いがする無色透明な硫黄泉ですが、源泉によって泉質・効能が異なります。外湯を源泉別に紹介しますと
- 大湯:単純硫黄泉/ 66.4度・pH:8.7・772mg
- 麻釜の湯:含芒硝-石膏・硫黄泉/ 86.9度・pH:8.8・1.029mg
下記7ヶ所の外湯は麻釜からの引き湯です。
中尾の湯・新田の湯・秋葉の湯・十王堂の湯・松葉の湯・横落の湯・上寺湯
- 熊の手洗湯:含石膏-食塩・硫黄泉/ 40.2度・pH:8.2・424mg
- 河原湯:含石膏-食塩・硫黄泉/ 60.1度・pH:8.0・895mg
- 真湯:単純硫黄泉/ 55.1度・pH:8.0・772mg
- 滝の湯:含石膏-食塩・硫黄泉/ 78度・pH:8.2・902mg
・制作:2001/09/22・更新:04/04/13
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