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姿勢や年齢のせいではなかった!? 日本人の8割が悩む「腰痛」、重症化・慢性化を招く意外な原因

【医師が解説】日本人の8割が経験する腰痛。姿勢の悪さや加齢が原因と思われがちですが、実は意外な生活習慣が「発症・重症化・慢性化」に深く関与しているようです。分かりやすく解説します。(※画像:amanaimages)

秋谷 進

秋谷 進

医師 / 子どもの健康・医療ニュース ガイド

小児科医・児童精神科医・救急救命士。金沢医科大学卒業後、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院、三愛会総合病院、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て、たちばな台クリニック小児科。小児神経・児童精神を中心に診療に従事している。

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腰痛に悩む人

慢性化したつらい腰痛は年齢のせい? 実は意外な生活習慣が原因かもしれません

日本人の8割以上が生涯に一度は経験するといわれる「腰痛」。厚生労働省の調査では、国内の患者数は約2800万人と推定されており、まさに日本の国民病です。

皆さんの中にも、「ずっと湿布を貼っている」「朝起きると腰が重い」といった悩みを抱えている方も多いかもしれません。腰痛があると、「姿勢が悪いから」「年のせい」「この前、重い物を持ったから」と考えがちですが、実は私たちの何気ない「日々の生活習慣」が、痛みの引き金や長期化の原因になっているようです。

2025年に発表された最新データをもとに、腰痛の意外なリスク因子と、効果的な対策について、分かりやすく解説します。

肥満や運動不足だけが原因ではない? 腰痛と生活習慣に関する大規模調査

これまでも、肥満や運動不足は腰痛に悪影響と考えられていました。しかし、日本においては生活習慣と、腰痛の強さ・慢性化の関係について、大規模なデータを使った調査は実は多くありませんでした。

そこで、藤田医科大学整形外科の川端走野氏らの研究チームは、20歳から90歳までの日本人約2000名を対象に、生活習慣が腰痛にどう影響しているのかの調査を実施しました。調査では、参加者を以下の3つの視点で分析しています。
  • 現在、腰痛があるか(発症)
  • その痛みは生活に支障が出るほどか(重症度)
  • 3カ月以上痛みが続いているか(慢性化)
その結果、私たちの何気ない「嗜好」や「健康状態」が、腰痛と密接に結びついていることが浮き彫りになったのです。

「今、腰が痛い人」に共通する5つのリスク因子

まず、「現在、腰痛を抱えている人」に共通する特徴として、統計的に有意な5つの因子が浮かび上がりました。
  • 年齢が高いこと
  • BMIが高いこと(肥満傾向)
  • 週3回以上の飲酒
  • 喫煙習慣
  • 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)
年齢や肥満は想像しやすいですが、お酒やタバコ、さらに血液中の脂質状態までもが関係しているのは意外かもしれません。特にお酒を週3回以上飲む人は、そうでない人に比べて腰痛リスクが高いという結果が出ています。

腰痛を重症化させる原因は、タバコ・運動不足・脂質異常症

次に、腰痛の「強さ」に注目してみましょう。単に痛むだけでなく、生活に支障が出るほどの「中等度から重度」の痛みを感じている人には、以下の3つの特徴がありました。
  • 喫煙習慣
  • 運動不足
  • 脂質異常症
ここで注目したいのが「運動不足」です。実は、単に「腰痛があるかないか」だけで見ると、運動習慣の有無は大きな差になりませんでした。しかし、「痛みの強さ」で見ると、運動不足の人は痛みが強くなりやすいことが分かったのです。

運動は腰痛の発症予防というより、痛みを「こじらせない」「ひどくしない」ために極めて重要だといえそうです。

慢性腰痛を引き起こす原因は、年齢・タバコ……「喫煙」は腰痛の最大のリスク因子

そして、最も避けたいのが3カ月以上も痛みが続く「慢性腰痛」です。この慢性化に強く関連していたのは、以下の2つだけでした。
  • 年齢が高いこと
  • 喫煙習慣
驚くべきことに、今回調査された生活習慣の中で、腰痛の「発症」「重症化」「慢性化」の全てに関与していたのは「喫煙」だけでした。

タバコを吸う人は吸わない人に比べ、慢性腰痛になるリスクが約1.7倍も高いという結果が報告されています。これは過去の海外研究とも一致しており、タバコは腰痛における最大のリスク因子の1つと考えられます。

なぜ「タバコ」や「コレステロール」が、腰痛に深く関係するのか

「タバコや脂質なんて、腰と全く場所も違うし関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、これには「血流」が深く関係していると考えられています。

腰の骨の間には、クッションの役割を果たす「椎間板(ついかんばん)」があります。この椎間板には太い血管が通っていないため、栄養を届けているのは、周囲の非常に細い血管です。
  • 喫煙による血管の収縮
  • 脂質異常症による動脈硬化
これらによって血流が悪くなると、椎間板に十分な栄養が届かなくなります。その結果、椎間板の老化(変性)が早まったり、炎症物質が増えたりして、しつこい痛みにつながると推測されているのです。

腰痛対策は「全身の健康管理」から! 今日からできる3つの改善ポイント

今回の研究から、腰痛対策は単なるマッサージや湿布だけではないことが分かります。もし長引く腰痛に悩んでいて、喫煙習慣や脂質異常症の指摘があるなら、まずはそこから改善することが「脱・腰痛」への近道です。
  • タバコを控える(禁煙を検討する)
  • 脂っぽい食事を見直し、脂質異常症を治療する
  • 無理のない範囲でウオーキングなどの運動を習慣にする
これらは生活習慣病の予防だけでなく、あなたの腰を守ることにもつながるのです。「腰」は「体の要(かなめ)」と書きます。人生100年時代、末永く自分の足で歩み続けるために、まずは血液と血管を健やかに保つ生活から始めてみませんか?

■参考文献
Soya Kawabata,Noriaki Kurita,Takuya Nikaido,et al.Association between lifestyle-related factors and low back pain: Evidence from a Japanese population-based study.PLoS One.2025 Jul 30;20(7):e0328684.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40737241/#full-view-affiliation-1
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