偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏による著書『知らないと合格できない 令和の受験のフツウ』(じゅそうけん監修協力)は、大学受験に関する親世代の常識が“非常識”と化している現実を最新データと現場取材をもとに徹底解説する一冊。
本書から一部抜粋し、大学入学後の「ミスマッチ」が生じやすい選び方、また「自分で進路を決める」ことの重要性について紹介します。
偏差値では測れないもの
総合型選抜入試が増え、偏差値だけで大学を選んでも、同じ偏差値の学部であってもマッチングの度合いによって合否が変わるという現実があります。そうなると、早い段階から「学部」についての知識を持ち、自分で調べ、自分で考える姿勢が不可欠になります。「とりあえず大学は決めたけど、学部はなんとなく」で進んでしまうと、痛い目を見ることになります。
たとえば、受験直前になって「文学部志望だったけど、やっぱり経済学部の方が就職によさそうだから変えよう」と思っても、問題がまるで違うなんてことはざらにあります。
総合型選抜ならそもそも入試要件が異なり、出願資格が得られない場合すらあります。評定平均が必要な学部もあれば、あまり重視しない学部もある。出願書類に求められる要件もバラバラです。
一般選抜でも同じです。出願の際に「なぜこの大学、この学部を志望したのか」というアンケートが課されることが増えています。
表向きは「ペーパーテスト100%」と書かれていても、志望理由や目的意識を把握するために、こうした情報を大学側が収集するようになっているのです。
大学中退の最大の原因とは?
仮に合格して大学に入ったとしても、自分が本当に学びたいことではなかった場合、学びそのものが苦痛になり、モチベーションが続きません。受験勉強は「合格」という明確なゴールがあるために頑張れますが、大学での学びはゴールがなく、自ら問いを立てて探究を続ける姿勢が求められます。
そのとき、「親が言ったから」「就職に有利だと聞いたから」という理由だけで選んだ学部では、授業や課題に取り組む意味を見いだせず、早々に壁にぶつかってしまうのです。
実際、文部科学省や各種教育機関の調査によると、大学を中退する理由の第1位は「学部・学科内容が自分に合わなかったから」というものです。
経済的理由や学力不足よりも、学部選びのミスマッチこそが中退の最大要因になっているのです。
裏を返せば、学部を丁寧に選ぶことができれば、大学生活の充実度も、卒業までやり抜く力も大きく高まると言えます。
実際、医学部に入学したものの「親に医者になれと言われたから」で全く気持ちが乗らず、講義や実習が苦痛になり、留年や中退につながってしまうケースは決して珍しくありません。
同様に、法学部に入ったが法律に関心を持てず、膨大な判例や条文の勉強に耐えられなくなってしまったり、経済学部に入ったものの数字や統計への苦手意識が克服できず、学びに挫折してしまう学生もいます。
「自分で決めた」学生は強い
一方で、「自分で決めた」という納得感を持って学部を選んだ学生は強いです。多少つまずくことがあっても、「自分で選んだ道だから」と粘り強く努力し、乗り越えていく姿勢が育まれます。たとえば、心理学に興味を持ち、総合型選抜で心理学部に入学した学生は、最初はレポートに苦労しても、「人の心を理解したい」というモチベーションがあるため、学びに前向きに取り組めます。
結果として大学生活が充実し、将来の進路選択にも自信を持てるようになるのです。
結局、学部選びにおいて最も重要なのは、「親が決める」のでも「世間の評判で決める」のでもなく、自分で決めることです。
そうして選んだ学部であれば、たとえ大変な勉強が待っていても「自分で選んだ」という覚悟が支えになり、継続的な努力が可能になるのです。
西岡 壱誠(にしおか・いっせい)プロフィール
中高では学力が芳しくなかった。2浪という厳しい状況の中で、自分自身の学びを徹底的に見直し、独自の勉強法を確立。これにより偏差値35から偏差値70まで成績を伸ばし、東京大学に合格を果たす。この経験をもとに、学びに悩む学生たちに希望を届ける活動を展開中。勉強法や思考法の研究と実践に基づいた著書は、ベストセラーとなり、多くの受験生や教育者から支持を集めている。







