「無理して我慢しない」「限界まで頑張らない」「嫌なことはやらない」という「手抜き三原則」を提唱する『体力がない人の仕事の戦略』(和田秀樹著)は、体力に頼らない効率的な働き方を解説しています。
今回は本書から一部抜粋し、精神科医の視点から「上司への中途半端な提出書類に対する考え方」について紹介します。
提出書類は「中途半端」で上司に見せる
上司から新規プランの提案書などを任された場合、パーフェクトをめざしたり、慎重になりすぎると、時間ばかりかかってエネルギーの浪費につながります。体力に自信がないビジネスパーソンであれば、もっとラクにやる方法を身につけて、できるだけ短い時間で作業を終えることが大切です。大事な書類を作成する際には、「どこかに見落としがあるのでは?」と不安になって、ギリギリまで提出をためらう気持ちが生まれます。「失敗は許されない」と思うと、肩にチカラが入ることもあります。あまりにも慎重になると、どうしても提出期限まで粘ることになって、「例のあれ、どうなっている?」などと上司に追い立てられ、余計にあたふたすることになります。
こうした状況を作らないための戦略は、意外に簡単でシンプルです。中途半端な状態でいいから、ある程度のところで見切りをつけて、早い段階で上司の判断を仰いでしまうのです。「まだでき上がっていませんが、方向性が合っているか、ご確認いただけますか?」上司が書類に目を通して、「この感じでいいよ」となれば、安心して作業を続けてフィニッシュに向かうことができます。
書類に問題があった時、どうすれば?
何か問題がありそうなら、上司にアドバイスをお願いして具体的な修正点を指摘してもらえばいいのです。「どのあたりを直せば、よろしいですか?」率直に質問をすれば、ほとんどの上司は、「まぁ、こことここだな。この部分は、もっとデータを盛り込むべきじゃないかな」などと、丁寧に改善ポイントを指摘してくれるはずです。その指摘に沿って修正を加えれば、不安なく完成に向かうことができます。上司の考えとズレがあった場合、自分だけで何とかしようとすると、せっかく最後まで書類を仕上げても、やり直しになる確率が高まります。悩み抜いて時間とエネルギーを浪費するくらいならば、ドラフト(下書き)の段階で上司の確認を取っておけば、ラクに仕事が進むことになります。
中途半端な状態で上司に見せることを、ためらう必要はありません。上司が嫌がるのは、書類の提出が締め切りに間に合わないことと、締め切りの直前になって、見当違いの書類を見せられることなのです。
和田 秀樹(わだ・ひでき)プロフィール
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。幸齢党党首。著書に『感情的にならない本』『70歳が老化の分かれ道』『80歳の壁』『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』など多数。







