パスタはすすっていいのか、すすっていい麺とダメな麺の線引きはどこにあるのか? 気になる食事マナーについて、All About 暮らしのマナーガイドの諏内えみが解説します。
Q. すすっていい麺ダメな麺を教えてほしいです
【今回のお悩み】テレビやYouTubeなどで芸能人、インフルエンサーがパスタをすすっているシーンを見かけます。SNSでは「パスタをすするのはマナー違反」と言う人もいれば、あまり気にしていない人もいて、賛否両論が巻き起こることもありますよね。すすっていい麺ダメな麺について教えてください。
A. 麺を「すする・すすらない」は文化と場で変わります
年末年始は、パスタやラーメン、うどん、年越しそばなど麺料理を口にする機会が増える季節。「すする音」はSNSでも議論になりますが、マナーの本質は、その料理が育った文化と、今いる場を俯瞰的に見る力にあると筆者は考えます。西洋料理であるロングパスタは音を立てず、フォークで巻き取り口に運ぶ所作が美しい食べ方です。日本においても音を立てる行為は、料理人や同席者への配慮を欠く印象となり、避けるのが大人の判断でしょう。
ラーメンの起源は中国です。中国では麺を音を立ててすすることは基本的にせず、特に格式ある席や教養層の間では、音を抑え静かに食べることがよしとされています。一方、日本に渡ったラーメンは独自に進化し、香りや湯気、熱さを含めて味わう食文化として定着しました。そのため日本では、ラーメンを適度にすすることは許容され、むしろ自然と受け止められています。
つまり中国由来であっても、現在の日本でいただくラーメンは日本料理という認識です。ただし、周囲を不快にさせないよう控えめにすすることが前提となります。
「音は文化に従う」。マナーとは禁止の羅列ではなく、背景を知った上で最適解を選ぶ力。その配慮と判断力を自然に持ち合わせた方が、筆者の考える「育ちがいい人Ⓡ」です。
※「育ちがいい人Ⓡ」は諏内えみ代表 株式会社ライビウムの登録商標です。








