※選定対象を実写作品に限定したため、アニメーション映画は含まれていません。
5位:『サンセット・サンライズ』(2025年1月17日公開)
コロナ禍のリモートワークを機に、東京で暮らす釣り好きサラリーマンが東北・三陸の町にお引越し。地元の人々との交流をユーモラスに描いた作品です。菅田将暉の演じる前向きな主人公がとてもチャーミング。三陸の人たちの温かさには何度も癒やされました。東日本大震災の爪痕も描きつつ、前を向いて立ち直るチャンスを与えてくれる脚本はクドカン(宮藤官九郎)ならではです!
監督:岸善幸
原作:楡周平『サンセット・サンライズ』(講談社文庫)
4位:『爆弾』(2025年10月31日公開)
山田裕貴、佐藤二朗が取調室で火花を散らす映画『爆弾』。爆弾が仕掛けられた場所と爆破の時間を予言するスズキタゴサク(佐藤二朗)と、警視庁捜査一課の変わり者・類家(山田裕貴)の頭脳対決。そして並行して描かれる爆弾を取り巻く人物と警察の秘密。一瞬たりとも見逃せないシーンの連続にゾクゾクしっぱなし。佐藤二朗の怪演が凄まじかったです。
監督:永井聡
原作:呉勝浩『爆弾』(講談社文庫)
3位:『ファーストキス 1ST KISS』(2025年2月7日公開)
夫の駈(松村北斗)を事故で亡くしたカンナ(松たか子)は夫の事故を阻止するためにタイムトラベル。自分と出会わなければ駈は事故死しないはずだと、運命を変えようとするのです。カンナが何度もタイムトラベルして自分と結ばれないように画策しても、なぜか惹かれてしまう二人。自分の未来を知っても「彼女といたい!」と熱い思いをぶつける松村北斗に大感動。演出、脚本(坂元裕二)、俳優陣すべてが期待を上回った作品でした。
監督:塚原あゆ子
2位:『8番出口』(2025年8月29日公開)
KOTAKE CREATEが制作した同名ゲームを、『百花』の川村元気監督が二宮和也を主演に映画化。元恋人(小松菜奈)からの大切な話に迷いながら地下通路を歩いて外に出ようとするけれど、同じ通路を何度もループすることになる迷う男(二宮和也)の物語。ゲーム『8番出口』をどうやって映画化するのかと思ったら、地下通路を主人公の人生の縮図として描き、ホラー、ファンタジーの味付けで人生迷路として仕上げていたのがよかったです。
監督:川村元気
1位:『この夏の星を見る』(2025年7月4日公開)
コロナ禍で部活動が制限される中、茨城の高校の天文部員たちは部の存続をかけて手作り望遠鏡で星をキャッチする「スターキャッチコンテスト」をオンラインで開催することに……。茨城のエピソードを起点にして、長崎五島、東京、3カ所の学生たちが活動を制限された中でも工夫を凝らし、仲間を集めて、空でつながっていくのがいい。スターキャッチコンテストのシーンがスリリングなのもよき。
全編ほぼマスク姿で演技をした若い俳優たちも素晴らしく、「日本映画の未来は明るい!」と感じさせてくれました。今年最高の青春映画です!
監督:山元環
原作:辻村深月『この夏の星を見る』(角川文庫/KADOKAWA刊)
上記の作品以外でも素晴らしい作品が数多く公開されました。次点の作品もピックアップ。
『敵』:渡辺儀助・77歳の丁寧な一人暮らしが一通のメールから崩壊していく様を描く。主演の長塚京三が名演!
『国宝』:ベスト5に入らないなんて!と思う人がいるかもしれませんが、個人的には前後編にしてもっとじっくり見せてほしかった~。でも吉沢亮、横浜流星など俳優陣の演技は一流でした。
『フロントライン』:新型コロナウイルス感染症の罹患者が出た豪華客船で、救助にあたったDMAT(災害派遣医療チーム)の活動を描く。事実に即して真摯(しんし)に作り上げた力作!
『兄を持ち運べるサイズに』:まさに笑って泣ける家族映画の傑作。ダメ兄を演じたオダギリジョーをはじめ、俳優たちの心温まる好演もよき。
『佐藤さんと佐藤さん』:同じ名字の男女が結婚をして離婚するまで15年間の物語を、2時間の映画で説得力ある作品に仕上げた演出力。生々しいセリフは心に刺さりまくりでした。
『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』:モンスターペアレントの家族によって窮地に追いやられていく教師が自身の潔白を証明していく物語。主人公を綾野剛が熱演。感情のない保護者を演じる柴咲コウの怪演も忘れられません。












