石垣の市街地から390号線を北上し、そのまま206号線へとさらに上ると、八重山の主島である石垣島もグッと南の島指数が上がってきます。明石の標識が出たところで右折し、国道から抜けて、さとうきび畑が一面に広がる中に走る一本道に入ります。たおやかな風がさとうきびを揺らし、畑はまるで大きな海原のように波打っています。しばらく走ると、赤石の集落が始まります。真っ赤なハイビスカスの生垣が美しい家並みを通り越し、止まれの標識のところで車を降ります。そこから、60mほどの緑のトンネルを抜けると、明石海岸です。
このビーチは大らかな広がりを感じさせます。右手にトムル岳、左手に久宇良岳の緑の山並みが控え、巨大な弧を描いてラグーンが広がっています。どこか、ハワイを彷彿させる眺めです。ハワイといってもワイキキではなく、カウアイ島やハワイ島など、アロハスピリットが宿る場所と共通の雰囲気をまとっているのです。
つる草のグンバイヒルガオが絨毯のように広がる入り口から黄金色の砂浜へ降りていくと、幅30mほど、長さは1kmちょっとありそうなビーチが広がります。空がパカーンと開いていて、目の前には遠浅のラグーンが限りなく続き、空と海との境界線もあやふやになりそうです。しかも遠巻きに山に囲まれているから、自分が大自然の中にポツリといる、いう感じを強く受けます。心もとなくなるほど、自然が大きいのです。
上空をぼんやり眺めていると、視界のはじにパラグライダーが横切りました。そう、ここはパラグライダーのスポットでもあるのです。勢いよく砂浜を走り、風をつかむと同時に両足を上げると、そのまま大空へ。しばし重力から逃れて、パラグライダーは右にゆらり、左にゆらりと、優雅に空を舞っています。風が強い日には、このビーチで海抜0mからのフライトが可能なのだそうです。
明石海岸の海はというと、数10m先まで遠浅が続き、あまりにクリアで色を持っていません。蒸留した強いお酒のように、透明です。砂地にゆらゆらと太陽の光が反射する中を泳ぎ、アマモの草原を越えると、白い砂地にサンゴが転々と点在しているエリアになります。岩の塊のようなコモンサンゴや、青や緑のエダサンゴの合間にカクレクマノミ(ファインディング・ニモですね)の家族が暮らしていたりして、あっちのサンゴ、こっちのサンゴと巡るとそれぞれに見どころが違います。シュノーケリング・ポイントとしても、なかなか楽しめますよ。
ところで、明石集落の入り口にある“明石食堂”(TEL0980-89-2477)は、この店を目当てに市街地からわざわざ車を飛ばしてくるほど、評判のお店です。白濁したスープにじっくり煮込んだ豚肉を乗せたソーキそばや、具がたっぷりとはいった野菜そば。どちらにしようか、真剣に悩んでしまいます。明石海岸は、食も大きな楽しみです。
アクセス
国道206号線沿いを進み、伊原間を過ぎて明石の標識を見たら、右折。突き当たりまでさとうきびの合間の道を走り、集落に入る。道なりに進み、止まれの標識から先は防風林の合間の道を約60m進む。
おすすめのお宿
●月桃の宿あかいし●
引き戸をあけると、丸石を敷き詰め、緑を配した吹き抜けになっています。右に食堂を兼ねた居間、左と2階に客室があります。グループから個人まで受け入れは可能です。
〒907-0332 沖縄県石垣市伊原間370(明石)
TEL0980-89-2922
1泊朝・夕食付 5000円
素泊まり3000円
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