鼻づまりに効く点鼻薬の使い過ぎは危険! 血管収縮薬の副作用と正しい鼻スプレーの使い方

【薬学部教授が解説】鼻づまりに即効性がある鼻スプレー(点鼻薬)。しかし「血管収縮薬」の使い過ぎは、症状を悪化させるリスクがあります。ナファゾリンなどの成分が体に与える影響と、2週間以上の連用が危険な理由を分かりやすく解説します。(※画像:Shutterstock.com)

阿部 和穂

阿部 和穂

脳科学・医薬 ガイド

薬剤師

東京大学薬学部卒業、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員、星薬科大学講師を経て、武蔵野大学薬学部教授。薬学博士。専門は脳科学と医薬。

プロフィール詳細執筆記事一覧
鼻スプレー・点鼻薬

花粉症シーズンに愛用している人も多い鼻スプレー。意外な注意点は?

風邪やインフルエンザ、そして花粉症のシーズンに多くの人を悩ませる鼻づまり。点鼻薬や鼻スプレーを使っているという方も多いのではないでしょうか。鼻づまりは不快な症状がしばらく続くことが多いため、改善するまで薬が手放せない方もいると思います。

鼻にシュッとスプレーを噴霧するだけなので、服用する薬よりも気軽に常用している方もいるかもしれません。しかし、使い過ぎや常用には注意が必要です。「鼻スプレー依存」がなぜ危険なのか、分かりやすく解説します。

鼻づまりは「正常な防御反応」……がまんできる症状なら薬は不要

そもそも鼻づまりは、体がウイルスや花粉と戦っている証拠です。細菌やウイルス、花粉などの異物が鼻腔に入ってくると、鼻粘膜では炎症反応が起こります。鼻粘膜下の血管が拡張して腫れ上がるため、物理的に鼻の通り道(鼻腔)は狭くなります。これは、異物がさらに奥の気道や肺へ侵入するのを防ごうとする、生体防御反応の1つです。

つまり、鼻がつまって苦しいのは、体が正常に機能している証拠でもあります。症状ががまんできる程度なら、薬で解消する必要はありません。鼻づまりの症状を抑えたからといって、感染症やアレルギーそのものが治るわけではないからです。

鼻づまりがあまりに苦しくて眠れない場合や、大事な試験や会議などで特に集中したい場合に、適切に使用してもよいでしょう。

即効性の高さには代償も……成分表でチェックすべき「血管収縮薬」の種類

鼻づまりを劇的に解消する薬の中で、特に注意したいのが「血管収縮薬」です。市販の鼻スプレーを購入する際は、パッケージの成分表示に以下の成分の記載がないかを確認してください。

  • プソイドエフェドリン
  • ナファゾリン
  • フェニレフリン
  • オキシメタゾリン

これらの成分はすべて「血管収縮薬」です。鼻腔内の血管平滑筋に直接働きかけて、強制的に血管を収縮させる作用があります。鼻腔の腫れ(うっ血)を引かせることで、スッと鼻の通りがよくなります。即効性が高く、使って10分もすれば鼻づまりがすっきりする効果が感じられるはずです。非常に便利です。しかしこの「即効性」こそが、鼻がスッとして気持ちいいという依存を招く原因にもなります。そして長期間の使用は、症状を悪化させるリスクもあります。

鼻スプレーの連続使用は2週間まで! 症状が悪化する「薬剤性鼻炎」のリスクも

体は正常な防御反応として血管を広げているため、薬で無理やり血管を収縮させ続けると、「もっと血管を広げなければ」と過剰に反応するようになります。結果として、次第に薬が効きにくくなっていきます。それだけでなく、鼻スプレーを使うことでかえって鼻がつまってしまう「薬剤性鼻炎」を引き起こしてしまうことがあるのです。

鼻スプレーを使う場合、2週間以上の連続での使用は避けてください。血管収縮薬はあくまで「鼻づまり」という症状を一時的に抑える対症療法に過ぎません。もし2週間使っても症状自体が改善しない場合や、鼻スプレーの使用回数が増えていると感じる場合は、使用を中止し、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

発熱や、目のかゆみ・くしゃみなど、鼻づまり以外の症状を併発している場合、血管収縮薬だけを使い続けても根本的な解決にはなりません。症状に応じて、抗炎症成分や抗アレルギー成分(ステロイドや抗ヒスタミンなど)を中心とした薬を選ぶのが、鼻の健康を守るためにも大切なことです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます