年金

年金を早く受け取るのは損?60歳から繰り上げ受給したいときの判断ポイント

年金の繰り下げ受給が話題になるなか、早くもらう選択を検討している人も少なくありません。経済ジャーナリストの酒井富士子さんに、繰り上げ受給の判断ポイントを教えてもらいました。※サムネイル画像:PIXTA

酒井 富士子

酒井 富士子

60代の得する働き方 ガイド

ファイナンシャル・プランニング技能士

経済ジャーナリスト。株式会社回遊舎 代表取締役。上智大学新聞学科卒業後、日経ホーム出版社に入社。「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長歴任後、リクルートに入社。「赤すぐ」(赤ちゃんのためにすぐ使う本)副編集長を経て、2003年から現職。近著に『60代の得する「働き方」ガイド』がある。

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年金は、希望すれば60歳から受け取ることができます。ただし、この「繰り上げ受給」は、そのぶん毎月の年金受給額が減ってしまいます。実際、60歳から年金を受け取ることは損なのでしょうか――。

経済ジャーナリストでAll Aboutマネーガイドの酒井富士子さんに、繰り上げ受給の判断ポイントを教えてもらいました。

早くもらうと年金はどれだけ減る?60歳受給は24%減に

実は、年金を繰り上げて受け取っている人は、年金受給者全体の1割ほどといわれています。意外に思われるかもしれませんが、60歳から受給を始めている方も一定数いるのです。

繰り上げ受給を検討する際に、まず知っておきたいのは、「減額率」の考え方です。

2022年4月の制度改正により、繰り上げによる減額率は1カ月当たり0.4%となりました(1962年4月2日生まれ以降の場合)。最大の5年間(60歳から受給した場合)繰り上げると、年金額は24%(0.4%×12カ月×5年)減額され、この減額は生涯にわたって変わることはありません。

「減額」という言葉を聞くと、心理的に損をした気持ちになりますが、この選択が本当に損になるかどうかを判断する1つのポイントとして用いられるのが「損益分岐点」です。

計算上、繰り上げ受給を選択した人が、65歳から受け取った人とトータルの受給額が同額になる年齢、これが損益分岐点です。現在の制度において、この損益分岐点は80歳10カ月となっています。

この年齢を超えて長生きすると65歳受給のほうが有利になりますが、男性の平均寿命は82歳前後といわれていますから、「繰り上げ受給は、とんでもなく損」とは言い切れません。

年金はいつから受け取るかよりも、どう活用するかのほうが大切と考えます。
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