経済ジャーナリストでAll Aboutマネーガイドの酒井富士子さんに、繰り上げ受給の判断ポイントを教えてもらいました。
早くもらうと年金はどれだけ減る?60歳受給は24%減に
実は、年金を繰り上げて受け取っている人は、年金受給者全体の1割ほどといわれています。意外に思われるかもしれませんが、60歳から受給を始めている方も一定数いるのです。繰り上げ受給を検討する際に、まず知っておきたいのは、「減額率」の考え方です。
2022年4月の制度改正により、繰り上げによる減額率は1カ月当たり0.4%となりました(1962年4月2日生まれ以降の場合)。最大の5年間(60歳から受給した場合)繰り上げると、年金額は24%(0.4%×12カ月×5年)減額され、この減額は生涯にわたって変わることはありません。
「減額」という言葉を聞くと、心理的に損をした気持ちになりますが、この選択が本当に損になるかどうかを判断する1つのポイントとして用いられるのが「損益分岐点」です。
計算上、繰り上げ受給を選択した人が、65歳から受け取った人とトータルの受給額が同額になる年齢、これが損益分岐点です。現在の制度において、この損益分岐点は80歳10カ月となっています。
この年齢を超えて長生きすると65歳受給のほうが有利になりますが、男性の平均寿命は82歳前後といわれていますから、「繰り上げ受給は、とんでもなく損」とは言い切れません。
年金はいつから受け取るかよりも、どう活用するかのほうが大切と考えます。







