日本映画を見ることができない? その理由は
――All Aboutでは取材をした方に好きな映画などを伺っているのですが、佐藤さんと山田さんは最近見た映画や思い出の映画などありますか?佐藤:好きな映画はたくさんあります。松田優作さん主演の『野獣死すべし』やロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノの出演作も大好きです。最近見た作品で好きなのは李相日監督の『怒り』(2016)。配信でやっと見ることができました。俳優も皆さん素晴らしくて、衝撃的でした。
山田:僕は韓国映画『7番房の奇跡』(2014)です。友達に勧められて見たのですが、僕が見た映画史上、一番号泣しました。冤罪で捕らえられた発達障害の父親が娘に会いたくて脱出を試みる……という物語。俳優さんのお芝居がリアルでよかったし、物語も刺さりまくりました。涙が止まらなかったです。
僕は日本映画が見られないんです。なぜかというと悔しくなるから。本当は芝居の勉強にもなるので見なくてはいけないのですが、いいお芝居を見ると悔しくて悔しくて。 佐藤:その気持ちは分かる。僕もかつて裕貴と同じように、日本の俳優たちのいいお芝居に対する嫉妬心があったから。
でもその気持ちは日本アカデミー賞の授賞式に出席したときに変わりましたね。多くの俳優とさまざまなお話をしたのですが、みんな日本映画を愛していて、日本映画の素晴らしさをもっと世界に広めたいと思って活動している。なんて素晴らしいんだと。僕は自分を恥じました。もっと日本映画を見て、学んで、その素晴らしさを発信していかなければ……。そう思って見たのが『怒り』です。
――そんな思いがあったのですね。
山田:先日、フィンランドのヘルシンキ国際映画祭で開催された『爆弾』のワールドプレミアに参加してきたのですが、自分の出演作をフィンランドの映画ファンに見ていただけてすごくうれしかったし、もっと世界に日本の映画を届けなければと思いました。そのためにも日本映画を見て学ばなければいけない。問題は「いい芝居を見ると悔しくなる」という自分の幼さですが、その気持ちを乗り越えていきたいと思います。
映画『爆弾』の面白さはスタッフ&キャストの総合力!
――では最後に、完成した映画『爆弾』を見た感想をお願いします。佐藤:まず原作がとても面白いので、絶対に外せないと思いながら撮影していたのですが、非常に面白く仕上がっていてうれしかったです。
永井監督にも感謝していますし、伊藤沙莉さん、坂東龍汰くんなど、事件現場で奔走してくれた警察官役の方たちや、リアルで迫力あるお芝居を見せてくれた特殊部隊の皆さんなど、スタッフ、キャスト全員の素晴らしい仕事が作品からほとばしっていて、感無量です。本当に自信を持ってオススメできる作品です! 山田:試写で見たとき、自分は「とても面白い映画になった!」と興奮しましたが、皆さんが面白いと思ってくれるのだろうかと少し不安だったんです。でも試写の後、二朗さんが大絶賛されていたのでホッとしました。
僕も本作はスタッフとキャストの総合力が高かったと思います。絶対に見ていただきたい! ただ、この面白さをどう伝えたらいいのか悩むんですよね。
佐藤:人の悪意を問うたり、社会性もあったりしながら、最初から最後までずっと面白い極上のエンターテインメント作品! いろいろな要素が凝縮されているけど、一言で言えば「面白い!」。これに尽きる。
山田:そうですね。あとはこの映画を見てくださった観客の皆さんに、本作の面白さを世の中に伝えていただきたいです。
佐藤:お客さんに映画『爆弾』を育てていただきたい。面白いと思ったら、どんどん拡散してください!
山田裕貴さんのプロフィール
1990年9月18日生まれ。愛知県出身。2011年『海賊戦隊ゴーカイジャー』(テレビ朝日)で俳優デビュー。2024年『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命- / -決戦-』『キングダム 運命の炎』などの演技で第47回日本アカデミー賞話題賞を受賞。近作は『木の上の軍隊』『ベートーヴェン捏造』。最新作は『ちるらん 新撰組鎮魂歌』(2026年放映予定/TBS)。佐藤二朗さんのプロフィール
1969年5月7日生まれ。愛知県出身。1996年に演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げして俳優活動をスタートした。以降、映画、ドラマ、舞台と活躍の場を広げている。映画制作にも積極的で、『memo』(2008/監督・脚本・出演)『はるヲうるひと』(2021/監督・脚本・出演)など多彩。『あんのこと』(2024)で第48回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。最新作は『新解釈・幕末伝』(2025年12月19日公開予定)。『爆弾』2025年10月31日全国ロードショー
原作:呉勝浩『爆弾』(講談社文庫)監督:永井聡
出演:山田裕貴、伊藤沙莉、染谷将太、坂東龍汰、寛一郎、片岡千之助、中田青渚、加藤雅也、正名僕蔵、夏川結衣、渡部篤郎、佐藤二朗
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会











