中学受験

「オール公立が一番安い」は本当なのか? 東大卒プロ家庭教師が考える「コスパ最強」の教育戦略

「中学受験は費用がかかる」でしょうか? 東大卒プロ家庭教師が、子どもの自主性を育てて塾代を節約する「コスパ最強」の教育戦略を紹介。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

中学受験は費用がかかる」は思い込み?実はオール公立の方が高くつくことも。※サムネイル画像:PIXTA

「中学受験は費用がかかる」は思い込み? ※サムネイル画像:PIXTA

中学受験はとにかくお金がかかる……。そう考えてオール公立を選ぶ家庭も多いですが、本当にそれが最もお得なのでしょうか?

中学受験で後悔したこと 失敗しない「頭・時間・お金」の使い方』(長谷川智也著)では、東大卒のプロ家庭教師である筆者が中学受験とその後の進学にかかる費用の実情と、最も効果的なお金の使い方を伝授する一冊。

今回は本書から一部抜粋し、大学受験まで見据えた「コスパ最強」の教育戦略について紹介します。
<目次>

大学まで見ると公立は高い?

【中学受験経験者の後悔……Mさんの場合】
「うちの子は私立小学校受験で失敗。中学受験は絶対にリベンジしたかったので、大手塾と個別指導塾に入れ、家庭教師の先生にレギュラーでフォローしてもらう態勢で臨みました。オンラインコンテンツもフル活用し、良いと思った問題集や参考書は片っ端から惜しみなく買い与えました。

その結果、見事に御三家に合格。しかし正直に言うと、お金をかけすぎたかも。今でも留学だ塾だ大学受験だと、想定以上に出費がかさんで……」(Mさん)

小学校受験では、慶応幼稚舎などを狙う〝ガチ勢〞の方は、1年で中学受験の数倍の費用を使うそうですが、中学受験~中高一貫校進学組を俯瞰しても、親御さんの「お金のかけどころ」には疑問を感じる場合が多いです。

「大事なのは最終学歴」という一般的な常識からすると、公立小から公立中に進み、高校受験から進学重点校の都立高校や県立高校に行き、国公立大学を目指す。高校授業料無償化の追い風もありつつ、このパターンが最も費用がかからないに決まっています。

しかし、日比谷や西高校など、都立の名門校はものすごい倍率なので、塾なし受験ではほぼ不可能です。上位校に行くには、中学3年間塾に行くか、もしくは幼少から公文式などで基礎的な学力を鍛えることはやはり必須でしょう。

これは、地方県立のトップ校でも似たような状況はあります。

首尾よく公立の名門高校に進んでも、中高一貫校のカリキュラムで6年間鍛え上げてきた生徒と大学受験で争うことになり、これは結構不利だと言わざるを得ません。

そこで、予備校代などが必要になってくる場合もあります。

つまり、中学受験はお金がかかる、オール公立のほうがかからない、と言っても、大学受験まで見据えて、トータルで判断したらどうなのかは冷静に見なくてはなりません。

“自走モード”で塾いらず

大学受験に有利な中高一貫校に進学した後も、塾や予備校に通わせるご家庭も多いです。実際、中1から「鉄緑会」などに通塾する生徒もよくいます。

ですが本来は、子どもが学校の勉強を自主学習できるなら、放任系の学校であっても塾の必要はありません。小学校の内容が全く役に立たない中学受験とは違い、学校の勉強で十分に東大にだって行けますから、中学受験の時とは、塾や予備校の立ち位置が違うのです。

学校のカリキュラムを全うする、すなわち定期テストや小テストを毎回しっかり受ける、宿題提出物などをきっちりやるなどすれば、塾や予備校の必要がなくなり、費用面でもお得になるわけです。

さらに、例えば東進などで模試を受けて上位になれれば、テレビでも人気者である林修先生など、超がつくトップ講師の授業を格安で受けられることもあります。

親御さんにとっては、お子さんを、「自分でできることは自分でする」という、当たり前のことができるようにすることで、結局、費用面でもお得になってくるわけです。

自分でできることは自分でする、とはつまり、僕が著書やブログを通じて提唱している「自走モード」であり、「自考モード」です。

コスパ最強の教育戦略とは

費用面も考慮して、僕のおすすめの教育戦略を紹介しましょう。

●幼児、小学校低学年のころから「自走モード」のベースとなる、①計算力(公文など)②読解力(読書)③体力(外遊びなど)④習慣(早寝など)をつけ、素養面を育てる。特に体力面は重視

●中学受験準備(入塾時期などは本人の様子を見て判断)

●お世話焼き型の中高一貫校へ進学

●塾なし、もしくはサポート程度の塾通いで国公立大へ進学

このような進学イメージを目指すのが、最も「コスパがいい」(あまり好きな言い方ではありませんが)と思います。

低年齢から大手塾に入れることは正解なのか

小学校時代の戦略の面で補足します。

最近の公立小はあまりにも学級崩壊が多く、その不安はあるので、費用がかかっても、私立小学校進学組が増えてくるのも仕方がないとは思います。

ただしこの場合も、あまりに年齢の低いうちからサピックスなどの大手塾に入れてしまうのは避けたほうが賢明です。まずは身体面を育て、その後に読解力、計算力など、素養面をきちんと育んであげることを目指してください。

元気であれば、たいていのことは大丈夫です。まずはその体力を作ることが中学受験でも大事で、結局、出費も減らせるのではないでしょうか。
  長谷川 智也(はせがわ・ともなり)プロフィール
ブログ名はジュクコ。1980年兵庫県明石市出身。高卒の両親のもとに育つもハードな中学受験を経験。白陵中学校・高等学校を経て、東京大学現役合格。卒業後、大手塾に勤務、人気講師となる。2009年独立してフリーランスの「プロ家庭教師」に。既存の固定観念にしばられない、生徒個人を見つめた指導で数々の実績を上げる。独自のプログラム「究極の受験セカンドオピニオン・スーパーコンサル」は年間300件を超える申し込みが殺到する。甲冑メタルバンド「武士メタルAllegiance Reign」のベーシストとしても本気で活動中。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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