生命保険

注目!2024年度生命保険会社全41社の決算発表

2024年度の生命保険会社41社の決算資料がそろいました。国内の株価や不動産は上昇し、昨今は金利も上がりつつある状況下で、各社はどのような業績を残したのでしょうか? 全41社の主な業績に関する数値を解説します。※サムネイル画像:PIXTA

松浦 建二

松浦 建二

医療保険 ガイド

FPとしてライフプランや保険の保障見直しに従事するガイドが、医療保険や共済をやさしく解説。

プロフィール詳細執筆記事一覧
生命保険会社各社から2024年度(2024年4月~2025年3月)の業績が発表されたので、各社の個人保険および個人年金保険の新契約件数と保有契約件数を確認し、表にまとめてみました。2023年度は42社ありましたが、アクサダイレクト生命がアクサ生命と合併したことにより、2024年度は1社減って41社となっています。

個人保険の新契約件数が最も多いのは今年度も日本生命

最初に、生命保険会社が2024年度に新たな契約をした個人保険の件数を取り上げます。個人保険は個人年金保険を除く個人向けの保険のことで、終身保険や定期保険、医療保険、がん保険、こども保険などが含まれています。

表は2024年度の新契約件数が多い生命保険会社順に並べてあります。前年度(2023年度)との比較のほか、感染症流行時との比較もできるよう2020年度(2020年4月~2021年3月)の件数も載せておきました。各社の決算内容をそのまま載せているので、件数の単位に「千件」と「件」が混在しています。「-」は件数がありません。また、業界全体の件数も生命保険協会の統計から載せておきました。
新契約件数

個人保険の新契約件数の推移

前年度から新契約件数が増加したのは16社、減少したのが23社なので、業績のよし悪しが分かれました。個人保険の新契約件数が最も多かったのは日本生命で、1年間で367万4000件もの新契約がありました。2番目が第一生命の226万8000件なので、約140万件差の断トツです。過去にはかんぽ生命が最も多かった年度もありましたが、最近は安定して日本生命が最多となっています。

2020年度と比べると約12万件減っていますが、はなさく生命、大樹生命、ニッセイ・ウェルス生命も日本生命グループなので、4社合計で比較すると、2020年度399万件が2024年度には411万4000件へ逆に約12万件増えています。

かんぽ生命が79万5000件で前年度62万8000件から26.5%も増えています。2020年度は12万4000件なので激増中と言えますが、しばらく不適切募集による自粛をしていたので、元に戻りつつあるといった感じです。

大手生命保険会社の新設子会社が順調に件数を伸ばしています。メディケア生命(住友生命子会社)が35万2000件で業界12位、なないろ生命(朝日生命子会社)が26万8000件で17位、はなさく生命(日本生命子会社)が24万7000件で19位となっています。いつか親会社を抜く日が来るかもしれません。

41社合計の新契約件数は1762万5606件で、前年度と比べて2.5%増、2020年度と比べても増えていますが、2021年度は1887万1854件、2022年度は1832万5721件なので、業界全体の業績がよかったとは言い難いです。それでも、今も非常に多くの人が、もしもの備えとして生命保険を頼りにしていると言えます。

個人保険の保有契約件数は41社で1億9530万件

次に生命保険会社が契約した個人保険の保有件数を取り上げます。保有契約件数は過去の契約の累積で、新契約があれば増え、解約や満期があれば減ります。
保有契約件数

個人保険の保有契約件数の推移

個人保険の保有契約件数も最も多いのは日本生命で、3033万6000件(前年度より40万1000件減)となっています。2番目以降は第一生命(2263万4000件)、アフラック(2185万2000件)、かんぽ生命(1278万6000件)、明治安田生命(1067万件)の順で前年度と変わらず、ここまでが1000万件を超えています。また、100万件超は1社(ネオファースト生命)増えて26社となっています。

41社のうち15社で保有契約件数が減っています。1年間の新規契約件数がプラスされてもそれ以上に解約や満期などが多かったわけで、これが何年も続くようだと問題です。

2020年度と比べると、アクサ生命、SOMPOひまわり生命、メディケア生命、ネオファースト生命、はなさく生命などが大きく増やし、アフラック、かんぽ生命、ジブラルタ生命などが大きく減らしています。

41社合計の保有契約件数1億9530万件で前年度0.2%の微増となっています。0.2%と言っても35万7000件なので、もの凄い件数です。保有契約件数は日本の人口の1.5倍くらいにもなります。今後は人口減少に連動して件数も減少していくと考えられますが、生命保険商品の役割が拡大したら、まだまだ増えていくかもしれません。

個人年金保険の新契約件数が前年度比12.5%も増えている

生命保険会社の決算では個人年金保険を個人保険と分けて業績発表していて、次は個人年金保険の新契約件数です。個人保険と同様に、表は2024年度の新契約件数が多い生命保険会社順に並べてあります。前年度(2023年度)との比較のほか、感染症流行時との比較もできるよう2020年度(2020年4月~2021年3月)の件数も載せています。業界全体の件数も生命保険協会の統計から載せていますが、個人年金保険の新契約がまったくない保険会社は、表に載せていません。
個人年金保険,新契約件数

個人年金保険の新契約件数の推移

2024年度の個人年金保険の新契約件数が最も多かったのは、ソニー生命の45万7000件です。順調に増えていて2022年度から1位を継続しています。2番目が第一生命の26万件、3番目は第一フロンティア生命の16万5000件で、第一生命グループ同士で前年度から順位が逆転しています。4番目の日本生命(12万9000件)までが10万件を超えています。また、前年度からは明治安田生命と富国生命が大きく増やしています。

個人年金保険の新契約件数が0件超なのは17社しかないですが、業界全体では149万5000件で前年度から12.5%も増やしていて、2020年度と比べるとわずか4年で2倍以上に増えています。

長らくゼロ金利時代が続いていて、個人年金保険に加入しても将来受け取る年金があまり増えない内容でしたが、最近は円の金利が若干上昇したことや、株式や債券の運用環境がよかったことから、資産形成の手段として期待できる個人年金保険が増え、加入者も増えています。

個人年金保険保有契約件数は2000万件台に復活

最後に個人年金保険の保有契約件数を確認しておきましょう。表では新契約件数と同様に2024年度、2023年度、2020年度の保有契約件数を載せています。
個人年金保険,保有契約件数

個人年金保険の保有契約件数の推移

個人年金保険の保有契約件数が最も多いのは日本生命ですが、前年度からは減っており、399万8000件で400万件を割ってしまいました。2番目は住友生命の298万件でこちらは300万件を割り、3番目は第一生命、4番目は明治安田生命で、いわゆる国内大手生命保険会社が上位に並んでいます。最近急増中のソニー生命は188万6000件で前年度から順位は変わっていませんが、2025年度は大手4社に割って入りそうです。

他に大きく増やしているのはニッセイ・ウェルス生命、プルデンシャル生命、T&Dフィナンシャル生命、PGF生命などで、逆に大きく減らしているのは太陽生命、第一フロンティア生命、かんぽ生命、ジブラルタ生命、フコクしんらい生命などです。

41社合計では2006万7897件で、2020年度よりは少ないものの2000万台に戻しました。老後への備えとして昨今はiDeCoやNISAを使う人が多いですが、どちらも基本的には株式や債券などで運用する商品なので元本保証ではありません。手堅い運用を希望するなら個人年金保険は選択肢の1つになります。生命保険は病気やケガに備えるだけでなく、長生きにも備えられるので、どの生命保険会社なら安心して長く付き合っていけるか、決算内容で確認するのもよいでしょう。

<関連記事>
後編【2024年度】生命保険会社・全41社の最新業績発表!年換算保険料やソルベンシー・マージン比率
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます