リビング・ニーズ特約は、余命が半年以内と診断された場合、死亡保険金の一部または全額を“生前に”受け取れる特約です。大切な人と過ごす時間を充実させたり、希望する医療を受けたり、人生の最期を自分らしく過ごすための選択肢が広がります。
今回は、リビング・ニーズ特約の仕組みや請求方法、知っておきたいメリットについて分かりやすく解説します。
リビング・ニーズ特約の仕組みとは?
リビング・ニーズ特約とは、医師から「余命6カ月以内」と診断されたときに、亡くなった後に受け取るはずだった死亡保険金の一部または全部を、生きているうちに受け取れる特約(オプション)です。このお金は、医療費や生活費に充てられるため、最期まで自分らしく過ごすための支えになります。多くの生命保険では、この特約を無料で付けられ、すでに自動的に含まれている場合もあります。もちろん、必要がなければ受け取らなくても問題ありません。
なお、給付を受けるための条件(余命の目安)や、受け取れる金額の上限は、保険会社や保険の種類によって異なるので、加入の際に確認しておきましょう。
リビング・ニーズ特約は病気やケガの種類に関係なく使える
リビング・ニーズ特約は、「余命6カ月以内」などと医師に診断されたときに利用できる特約です。がんでも心臓病でも、病名に関わらず、医師が“余命6カ月以内”と判断すれば対象となります。ただし、「余命6カ月以内」とは、一般的な治療を受けてもそれ以上の回復が見込めないと医師が判断した場合を指します。そして、実際に保険金が支払われるかどうかは、最終的に保険会社が判断します。
このため、リビング・ニーズ特約が自分の加入している保険にどう適用されるか、事前に内容をよく確認しておくことが大切です。
リビング・ニーズ特約を請求するときは?
リビング・ニーズ特約を使いたい場合は、基本的に保険に入っているご本人(被保険者)が自分で手続きをします。ただし、ご本人が重い病気やケガで意思表示が難しい場合、あるいは本人に病名や余命のことを知らせていない場合は、あらかじめ保険契約で決めておいた「指定代理請求人」という人が代わりに手続きできます。
指定代理請求人になれるのは、配偶者や親・子どもなど、限られた家族の中から選ばれます。代理請求人が請求をすると、保険会社は本人ではなく、その代理人に連絡をします。
請求を進めるには、まず保険会社や保険の担当者に連絡して、必要な書類を確認しましょう。以下が一般的に必要な書類です。
・医師の診断書
・保険会社の請求書類
・本人確認書類(運転免許証など)
これらの書類をそろえて提出すると、保険会社が内容を審査します。問題がなければ、生前給付金が指定された口座に振り込まれます。
リビング・ニーズ特約のメリット
リビング・ニーズ特約を利用すると、万が一のときに備えるだけでなく、「もしものときに、自分のためにお金を使える」という選択肢が広がります。ここでは、具体的なメリットを分かりやすくご紹介します。●本人が自分で保険金を使える
ふつうは、亡くなった後に保険金が家族などに支払われます。でも、リビング・ニーズ特約を使えば、余命が限られたと診断されたときに、ご本人が生存中にお金を受け取れます。
例えば、
・家族との旅行や思い出づくり
・治療費や介護費用
・快適に過ごすための住環境の整備
など、自分の希望に合わせてお金を使えます。
●受け取った保険金には税金がかからない
リビング・ニーズ特約で受け取った「生前給付金」は、所得税や住民税などの対象にはなりません。
●保険料の支払いが安くなる、またはなくなることも
リビング・ニーズ特約で保障額の一部の保険金を受け取ると、その分、残りの保障額が減額になります。例えば、3000万円の保障がある保険から2000万円を先に受け取った場合、残りは1000万円になります。
すると、支払う保険料も1000万円分に対応した金額に下がります。もし全額(3000万円)を受け取った場合は、保険契約は終了するので、その後の保険料の支払いはなくなります。