Q. 「ダニに刺されただけで死ぬことがある」って本当?

海外でも注意喚起される、感染症を媒介するダニの被害。日本国内でのリスクとは?
Q. 「週末キャンプに行ったとき、腕にマダニらしき虫がついていました。一緒に行っていた友人が『ダニに噛まれると死ぬことがある』と慌てていたので、不安です。今のところ何も症状はないのですが、本当に命を落とすケースはあるのでしょうか?」
A. はい、本当です。ダニに刺されただけで命を落とす事例があります
ダニに刺されただけで命を落とす事例は実際にあります。原因となるのは「マダニ」による感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」です。SFTSは、SFTSウイルスに感染したマダニに刺されることで発症します。感染すると6日~2週間の潜伏期間を経て、発熱、吐き気、下痢、意識障害、けいれん、出血症状などが現れ、重症化することがあります。発症した場合の致死率は約6~30%と非常に高く、現在のところ有効な特効薬や治療法はありません。
SFTSウイルス自体はアルコールで消毒できますが、皮膚の中に侵入してしまうと、手洗いやうがいでは予防できませんし、発症を予防するためのワクチンもないのが現状です。したがって、最も重要なのはマダニに刺されないことです。
長袖・長ズボンを着る、虫除けスプレーを使う、草むらに直接座らない、帰宅後すぐに入浴・着替えをする、ペットのマダニ確認をするなどの予防策が推奨されます。
マダニ全てにSFTSウイルスがあるわけではありませんが、マダニに刺されたら、皮膚科でうまく取ってもらったほうが良いでしょう。吸血したマダニをつまむと、マダニの体液が体内に入りやすくなり、感染症の危険が高まるからです。
質問者の方は現時点では何も症状がないとのことですが、もし実際にマダニに刺されたことが確かな場合や、発熱などの症状が出た場合は、早めに医師の診察を受けてください。
さらに詳しく知りたい方は、「マダニで死亡も……重症熱性血小板減少症候群とは」をあわせてご覧ください。