感染症

Q. 「ダニに刺されただけで死ぬことがある」って本当ですか?

【医師が解説】マダニに刺されることによる死亡例が、日本国内でも発生しています。特効薬やワクチンはなく、致死率も高いため注意が必要です。症状と診断法について、解説します。

清益 功浩

清益 功浩

家庭の医学 ガイド

医師

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院小児科・アレルギー科で診療に従事。論文・学会報告多数。診察室外で多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。

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Q. 「ダニに刺されただけで死ぬことがある」って本当?

マダニへの注意喚起

海外でも注意喚起される、感染症を媒介するダニの被害。日本国内でのリスクとは?


Q. 「週末キャンプに行ったとき、腕にマダニらしき虫がついていました。一緒に行っていた友人が『ダニに噛まれると死ぬことがある』と慌てていたので、不安です。今のところ何も症状はないのですが、本当に命を落とすケースはあるのでしょうか?」
 

A. はい、本当です。ダニに刺されただけで命を落とす事例があります

ダニに刺されただけで命を落とす事例は実際にあります。原因となるのは「マダニ」による感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」です。SFTSは、SFTSウイルスに感染したマダニに刺されることで発症します。

感染すると6日~2週間の潜伏期間を経て、発熱、吐き気、下痢、意識障害、けいれん、出血症状などが現れ、重症化することがあります。発症した場合の致死率は約6~30%と非常に高く、現在のところ有効な特効薬や治療法はありません。

SFTSウイルス自体はアルコールで消毒できますが、皮膚の中に侵入してしまうと、手洗いやうがいでは予防できませんし、発症を予防するためのワクチンもないのが現状です。したがって、最も重要なのはマダニに刺されないことです。

長袖・長ズボンを着る、虫除けスプレーを使う、草むらに直接座らない、帰宅後すぐに入浴・着替えをする、ペットのマダニ確認をするなどの予防策が推奨されます。

マダニ全てにSFTSウイルスがあるわけではありませんが、マダニに刺されたら、皮膚科でうまく取ってもらったほうが良いでしょう。吸血したマダニをつまむと、マダニの体液が体内に入りやすくなり、感染症の危険が高まるからです。

質問者の方は現時点では何も症状がないとのことですが、もし実際にマダニに刺されたことが確かな場合や、発熱などの症状が出た場合は、早めに医師の診察を受けてください。

さらに詳しく知りたい方は、「マダニで死亡も……重症熱性血小板減少症候群とは」をあわせてご覧ください。
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