レジオネラ菌とは

温泉イメージ

気持ちいい温泉などの入浴施設。しかしレジオネラ菌感染の集団発生が起こることがあります

温泉などの入浴施設で集団発生が報告されることがあるレジオネラ菌感染。レジオネラ菌とは、正式には「レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila )」と呼ばれる細菌で、感染すると肺炎や発熱などのレジオネラ症を起こします。

レジオネラ菌は1976年にアメリカのフィラデルフィアで開催された米国在郷軍人会(the American Legion。現役を離れた軍人の会)で原因不明の肺炎が集団発生し、legionnaires' diseaseとして報告されたことに由来しています。

そしてレジオネラ菌は特別珍しいものではなく、私たちの身近な環境にある細菌です。主に水の豊富な環境を好み、循環式の銭湯や温泉などの入浴施設での集団発生が報告されています。入浴施設に限らず、噴水、ビル屋外の冷却塔、ジャグジー、加湿器などでレジオネラ菌が増え、そこから発生するエアゾルによって感染することもあります。日本では、スポーツ施設、温泉、ホテルなどの集団発生報告がありますが、集団発生しないケースでは、なかなか診断が困難です。

日本では、夏(特に7月、9月)に発生が多く、レジオネラ感染者の報告は増加傾向にあり、2000年には154例でしたが、2018年には2130例の報告があります。60歳代をピークに中高年の男性に多いです。夏に多い原因として旅行との関連が言われています。

<目次>  

レジオネラ肺炎・ポンティアック熱の症状

レジオネラ菌によるレジオネラ症は、主にレジオネラ肺炎やポンティアック熱に分けられます。

■レジオネラ肺炎の症状
細菌性肺炎と同じような症状が起こります。
  • 38℃以上の高熱
  • 頭痛
  • 全身倦怠感、食欲不振、筋肉痛、寒気
  • 咳…乾いた咳から始まり、数日後には膿のような痰や、赤褐色の痰のある咳になる
  • 胸痛
咳

高齢者や新生児の肺炎で注意すべき原因です

レジオネラ肺炎は、他の細菌性肺炎と違って、傾眠、昏睡、幻覚などの神経の症状が出てくることがあり、さらに、進行が早いのも特徴です。

■ポンティアック熱の症状
ポンティアック熱は、1968年にアメリカのミシガン州Pontiacで集団感染事例に由来していて名づけられたもので、一過性の症状を起こします。

ポンティアック熱は発病率が95%、感染してから発症までの潜伏期間は1~2日です。症状は突然の発熱、寒気、筋肉痛のみですぐに治まります。
 

レジオネラ菌の感染経路・潜伏期間・特に注意すべき人

レジオネラ菌は、人から人へは感染しません。そのため、集団発生するときには、ほぼ同時期に発生します。感染してから発症までの潜伏期間は2~10日です。

レジオネラ菌に感染すると、新生児、高齢者、透析者、糖尿病、悪性疾患など、主に免疫機能が低下した人で肺炎を起こしやすく、重症になります。
 

レジオネラ菌の検査法・診断法

レジオネラ菌に感染しているかどうかは、「尿中レジオネラ抗原」と言って菌の一部の成分を検出するキットで簡単に速やかに検査することができます。

肺組織、痰、胸水、血液などからレジオネラ菌の分離するために、レジオネラ専用の細菌培地を使って、菌の増殖を見たり、遺伝子検査も行われることがあります。

血液検査では、レジオネラ菌に対する抗体を測定し、発熱などのある急性期と治ったときの回復期の2度検査して比較し、4倍以上の上昇があれば、感染していると判断されます。一回の検査でも抗体が高いと、感染の可能性があります。

また、レジオネラ菌による肺炎の診断のため、胸部X線、さらに胸部CT検査を行います。
 

レジオネラ菌感染およびレジオネラ肺炎の治療法

レジオネラ菌に有効な抗菌薬であるエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマイクロライド系抗菌薬、レボフロキサシン、シプロフロキサシンなどのニューキノロン系抗菌薬、ミノサイクリンなどのテトラサイクリン系抗菌薬などの抗菌薬を使用する必要があり、他の抗菌薬では効果に乏しくなります。

このような有効な抗菌薬の投与がなされずにレジオネラ肺炎になると、7日以内に死亡するケースもあります。いかに早期に正しく診断するかが大切です。
 

レジオネラ肺炎に対する予防法・対策法

入浴施設などでは、エアゾルを発生する水を適切な殺菌剤で処理するか、水は循環させずに水を換える換水をするのが望ましいとされています。温度も重要で、20~45℃が危険とされています。60℃以上ではレジオネラ菌は死滅するので、殺菌可能です。

利用者としては、レジオネラ菌感染リスクの低い入浴施設かどうかをチェックするポイントとして、以下のようなところを気にしてみるのもよいでしょう。
  • 温泉などの施設ではお湯の循環せず、かけ流しか
  • 源泉の温度が高いか
  • 配管も含めてしっかりと清掃されているか
  • エアゾルが発生しやすいジャグジーはなるべく避ける

レジオネラ肺炎の場合、診断した医師は感染症法による4類感染症として、保健所に速やかに報告することになっています。
 

関連記事

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項