重症熱性血小板減少症候群(ダニ感染症・SFTF)とは

マダニ

フタトゲチマダニというマダニです(出典:国立感染症研究所昆虫医科学部

「ダニ感染症」とも言われている「重症熱性血小板減少症候群」。少し専門的ですが、「SFTS(severe fever with thrombocytopenia syndrome)」と呼ばれる新種のウイルスである、ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類された「SFTSウイルス」が原因で起こります。

重症熱性血小板減少症候群は、2009年に中国で初めて報告されたダニを介して感染する感染症。原因となるSFTSウイルスを持っていると確認されているダニは、フタトゲチマダニ、ヒゲナガマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニなどの「マダニ類」で、家にいるチリダニとは異なります。SFTSウイルスに感染した人は、アメリカ、韓国でも報告され、2013年1月には日本で初めて報告されました。中国と日本でのSFTSウイルスは異なることから、中国から入ってきたわけではないとされています。

2005年から2012年までの7年間に10名の感染者の報告があり、認知されるとともに増加することが予想されています。マダニは吸血前で3~8mmの大きさですが、吸血後は10~20mm程度と大きくなることが知られています。マダニは日本中に分布し、春から秋に活動が活発になります。野山などに入るときには特に注意が必要です。

重症熱性血小板減少症候群の潜伏期間・症状・死亡率

SFTSウイルスに感染すると、6日から2週間の潜伏期間(感染から発症までの期間)を経て、発症します。

名前の通り、発熱と血を止めるために必要な血液の成分である血小板が減少し、出血しやすくなります。
  • 発熱
  • 食欲低下、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状
  • 頭痛、筋肉痛
  • 意識障害、けいれん、こん睡などの神経症状
  • リンパ節腫脹
  • 咳、咽頭痛の呼吸器症状
  • 紫斑、下血などの出血症状
などの症状が見られます。死亡率は約6~30%と高い、危険なウイルスでもあります。そのため、感染が確認されたら、保健所に報告されます。

重症熱性血小板減少症候群の診断法・検査法

まずは、マダニに咬まれたかどうかです。ダニに咬まれたことがわかっており、その後で上記のような原因不明の発熱、消化器症状、血小板減少、白血球減少、血液検査でのAST・ALT・LDHと呼ばれる項目の数値の上昇しているときには、この重症熱性血小板減少症候群が疑われ、SFTSウイルスの感染があるかどうかを検査することになります。

検査方法は、血液検査です。患者の血液からSFTSウイルスを分離し、ウイルス遺伝子が検出されると診断できます。また、血液検査でSFTSウイルスに対する抗体が、感染した急性期と、約2週間後の回復期で上昇している場合、SFTSウイルスの感染が証明されます。

これらの検査は一般の医療機関では行うことができません。検体(血液)を国立感染研究所に送り、検査してもらうことになります。

重症熱性血小板減少症候群の治療法

重症熱性血小板減少症候群はまだ新しい病気ですので、特効薬もワクチンもありません。症状に応じた治療が行われます。

リバビリンという抗ウイルス薬を使用した報告がありますが、効果については証明されていません。

重症熱性血小板減少症候群の予防法

SFTSウイルスは、アルコール消毒で消毒できます。しかし、マダニに咬まれた場合は体内にウイルスが入ってしまうため、インフルエンザのような表面の手洗い、うがい、消毒といった感染対策では、感染予防になりにくいです。

何よりも重要なのは、SFTSウイルスを持ったマダニに咬まれないようにすることでしょう。ペットなどにマダニがついていることもあります。マダニに咬まれない対策としては、
  • 不要な農作業や山林作業を避ける
  • 長袖、長ズボン、手袋などを着用する
  • 肌の露出部分には虫除けスプレーを使用する
  • 草むらや地面に直接座らない。衣類を地面に置かない
  • 野山、草むらに入った後は、すぐに入浴して新しい服に着替える
  • ペットの散歩後にはマダニが付着していないかどうか確認する
  • ペットにマダニがついているのを発見した場合、ペットに触れずにマダニの駆除する
もしマダニに咬まれてしまった場合、そのことを医師に伝えてください。ダニに咬まれて起こる病気は、この重症熱性血小板減少症候群だけでなく、日本紅斑熱、ワイル病、ライム病など、さまざまです。ダニに咬まれて何らかの症状が出た場合、しっかり検査する必要があります。
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