「マスクをしていれば大丈夫」は危険! 予防効果の過信は禁物

マスクで咳エチケット

咳が出るときは感染拡大予防にマスクを。大切な咳エチケットの一つです

マスクは種類によって感染予防力が異なります。薬局などで売られている一般的な「メディカルマスク」「サージカルマスク」は飛沫感染の予防になり、主に咳エチケットの一つとして効果を発揮します。「サージカル」とは手術のことですが、手術時に医療者がマスクをするのは唾液や痰などで清潔な術野を汚染しないためです。正確に言えば、サージカルマスクは、マスクのひもを結ぶタイプで手術中にずれないようになっています。メディカルマスクはひもがゴムになっています。ただ、一般的には混同されていることが多いようです。

医療機関で使用するマスクは、咳が出た場合などに、病原体を含む飛沫が飛ぶことにより、他の人に病気を感染させないために効果的です。

一方で自分を感染症から守る面では、マスクの効果は限定的です。口や鼻の粘膜に大きな飛沫が侵入することは防げますが、咳やくしゃみで口から出た時点では大きな飛沫も、空中を飛ぶうちに小さくなって広がっていきます。飛沫の粒子が小さくなると、マスクの性能によっては、防御することができません。そのため、結核などの空気感染する菌に対しては「N95マスク」などの特殊なマスクが使われています。高性能なマスクであっても目の粘膜から病原体が感染することはありますし、マスクだけで感染症を完全に予防することはできません。「マスクさえしていれば密な場所で大声で喋っても安心」というわけではないのです。
 

マスクの穴は意外と大きい? ウイルス・菌・花粉のサイズとの比較

マスクの穴とウイルス・細菌の大きさの比較

直径5μm以上のものの侵入を防げるマスクでも、0.02~0.1μmのウイルスには効果を発揮できません

薬局などで売られている「サージカルマスク」「メディカルマスク」は、直径5μmまでの粒子を除去することができます。では、ウイルス、細菌、花粉は大体どれくらいのサイズでしょうか?
  • ウイルス 0.02~0.1μm
  • 細菌 1μm
  • 花粉 20~40μm
マスクの穴の大きさは、最も大きなウイルスと比較してもその約50倍ほどの大きさです。運よくマスクにひっかかって防御できることの方が稀だということは、すぐにイメージできるでしょう。このことからも、マスクさえしていれば大丈夫と予防効果を過信するべきではないのです。
 

家庭内に感染者がいる場合は、手洗いとマスクで予防効果UP?

一方で、家庭内でインフルエンザが発症した場合、36時間以内に手洗いとマスクを併用するとインフルエンザの家族への感染率が低下した、という報告があります。マスクの予防効果がどれくらい寄与したかは不明ですが、マスクと手洗いをどちらも実践したのがよかったのでしょう。マスクでウイルスの侵入を防ぐことはできなくても、マスクをしていることで、看病中にウイルスがついてしまった手で、自分の口や鼻に直接触ってしまうことが防げ、結果的に感染率を下げたことも考えられます。
 

感染症拡大を止めるために、正しい知識で活用を

マスクはウイルスや菌を持っている感染者がつけることで、周りへの感染拡大を抑える効果を発揮します。

新型コロナウイルス感染症の流行初期には、マスク不足が深刻な問題になりました。社会全体で感染症と闘わなくてはならないときは、お互いのことを考え、過剰にマスクを求めたり、買い占めを行ったりする行動は適切とは言えません。「マスクがないと感染してしまう」といった間違った認識でパニックを起こし、誤った行動に走る前に、災害時と同じように共助の気持ちで対処ししていくことが大切です。

現在は幸いマスク不足も解消されました。社会全体に、ほぼ十分に行き渡っている状態かと思います。多くの病気の場合は、症状のない人はマスクをしなくてもよいわけですが、新型コロナウイルス感染症の場合は、無症状でも飛沫感染をさせるリスクがあり、外出時のマスク着用、そしてマスクだけを過信せずに密を避けることなどが推奨されています。今は、誰もが感染させるリスクがある時期と考え、適切にマスクを活用しながら、社会全体の感染拡大を抑えていきましょう。
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