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実はたくさんある「選挙に関する特許」マイナンバーカードで電子投票、光る掲示板…ユニークな特許3選(2ページ目)

実は選挙に関する特許は多数存在しています。そうした特許の中から、今回は、将来実現するかもしれない電子投票システム、電子掲示板、選挙当落予測システムの3つを取り上げてそれぞれの特許内容を解説します。※画像:PIXTA

藤枝 秀幸

藤枝 秀幸

弁理士 ガイド

弁理士・行政書士。IT会社等でのプログラマ・SEとしてのシステム開発等を経て、2009年に当事務所(現:藤枝知財法務事務所)を開業。現在はIT分野やエンタメ分野のクライアント様を中心に契約書業務や知的財産業務を日々行わせて頂いております。

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新しい選挙掲示板

続いては、丸善グループが2023年に特許を取得した、電子掲示板(特許第7292590号)を取り上げます。

選挙になると街中に登場する、候補者のポスターが貼られる選挙掲示板を、電子化しようという特許です。

具体的には、次のような特許内容となっています。

1:公示日になると、立候補者の氏名、顔、所属政党などの情報が一斉に表示される電子掲示板。
2:電子掲示板に表示されている特定の立候補者をタッチすると、画面が切り替わりその立候補者の政策などを表示できるようにする。

図3が電子掲示板のイメージです。
図3:電子掲示板のイメージ ※画像:特許情報プラットフォーム

図3:電子掲示板のイメージ ※画像:特許情報プラットフォーム

選挙に関する特許はいろいろとありますが、選挙掲示板に関する特許は比較的少ないです。そうした中、この丸善グループの特許は実現可能性もあって面白そうではあります。選挙掲示板は、長年あまり代わり映えしていないものなので、このように電子化がされれば、近未来感もあってより選挙に興味をもつ有権者が増えるかもしれません。

電気代がかなりかかりそうだなとか、メンテナンスなどで結局人手が割と必要になりそうだなといった課題も浮かぶところではありますが、将来実現する可能性は大いにあり得ると思います。

政党への追い風・逆風も加味して選挙を予測

最後は、富士通が2024年に特許を取得した、選挙当落予測システム(特許第7582016号)を取り上げます。

実は、選挙の当選・落選の予測システムにも特許が多数存在しています。しかし、この富士通の特許は、政党への追い風・逆風も加味して当選・落選を予測するという点が特徴的であり、具体的には、次のような特許内容となっています。

1:ニュースサイトの政治記事やSNSの投稿内容などに基づき政党への追い風・逆風を数値化して加味した上で、選挙の立候補者の当選・落選を予測する。
2:政党への追い風・逆風を加味する際、立候補者を一律に加味するのではなく、追い風や逆風の影響を受けづらい属性の立候補者にはあまり影響がないように補正する(例えば、世襲で地盤の強い議員や大臣経験者などはあまり追い風・逆風の影響がないようにし、新人立候補者などは逆に影響を受けやすいようにするなど)。

政党への追い風・逆風を数値化したもののイメージは、図4の通りです。
図4:政党への追い風・逆風のイメージ ※画像:特許情報プラットフォーム

図4:政党への追い風・逆風のイメージ ※画像:特許情報プラットフォーム

この政党への追い風・逆風を加味して予測するというのは非常に面白いと思います。実際の選挙でも、そうした追い風や逆風によって大波乱の結果になることもよくありますからね。そういう意味では、とてもリアルな予測システムではないかと思います。

今回、選挙に関する3つの特許を取り上げましたが、他にもさまざまな選挙に関する特許があります。こうした特許が、将来実現して、より選挙が面白くなっていくと、より投票率が上がるかもしれませんので、そのような意味でも今回取り上げた電子投票システムや電子掲示板のような特許が将来実現していくといいなと筆者は考えます。

>次ページ:【画像】選挙に関する近年のいろいろな特許
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