AQUOS Tシリーズ の画質をチェック!
画質チェックの前に、テストパターンで入念に調整。 |
「Tシリーズ」が受けたTHX認定(正式名称: THX Certified Display Program)は、 映画館と同様、暗室に近い環境を想定しており、輝度やコントラストやの「数値」よりも、暗部の階調表現といった「質」が重視されます。
ベースとなった「Rシリーズ」のパネル輝度が450cd/m2に対し、「Tシリーズ」で敢えて350cd/m2に抑えた訳は、スペック競争から離脱し、「質」を求めた結果と言えるでしょう。
輝度の低下を心配される方がいらっしゃるかもしれませんが、日常のテレビとしても充分な明るさを確保できますので、ご安心を。 因みに筆者の場合、直射日光の入らない日中のリビングで80cd/m2(筆者測定値)、遮光した薄暗い視聴環境だと、60cd/m2(筆者測定値)程度で充分に明るく感じました。(高齢になる程、より明るさを必要とします。)
実際に、THXが映画の忠実な再現に理想とする、ガンマセッティングや色温度などを精密にチューニングした「THXポジション」で映画を鑑賞すると、Rシリーズで完成された基本画質、色純度の高さと相まって、スクリーンを思わせるしっとりと優しい映像が堪能できます。
余談ですが、画質の指標となる上記の項目を測定した所、色温度は、黒から白まで、ターゲットとなる6500Kに極めて近く、ガンマもターゲットとなる2.2のカーブにフィットしていて、民生用テレビとしては非常に優秀である事が分かりました。 (映画鑑賞用として)
高画質は「分かり難い」もの
一般的なテレビに比べ、「Tシリーズ」は輪郭がソフトで、一見「甘く」見えますが、実はこれで正解。 撮影時の自然なボケが再現されると、映像に奥行きを感じる事ができ、また、長時間の視聴でも疲れ難いものです。
一般的なテレビは、見栄えを良くするため、元の映像には無い「エッジ」を作り出して、輪郭を強調する傾向にあり、結果として、映像を壊してしまっているケースが少なくないのです。
つまり、「Tシリーズ」における「THXポジション」ように、制作者の意図に忠実で上質な映像は、パッと見で「奇麗」と見せかける店頭用の映像モードとは対照的に、短時間でその本当の良さを実感するのは難しいものなのです。
「Tシリーズ」の画質を見極めるなら、視聴環境の整ったホームシアター専門店に出向き、お気に入りの映画をじっくりと鑑賞してみると良いでしょう。