あの「画面」は何??
何となく見ているカラーバーに秘められた機能とは? |
テレビ放送が終了した深夜から早朝にかけて、写真のような「画面」を見かけた事があると思います。 しかしながら、その意味や使い方は殆ど知られていないようです。
実は、あの「画面」、放送局や映像制作現場で使用されている、標準的な映像調整用のパターンで、正式名称は「SMPTE Color Bars」と言います。
*SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers/米国映画テレビ技術者協会)
一つの画面で、色の濃さ、色合い、明るさ、コントラスト他、いろいろな項目の調整に使える「テストパターン」で、2001年にはエミー賞(Engineering Emmy)を受賞している程の優れものなのです。
今回は、そんな標準的で優れた「画面」を利用した、映像の調整方法もご紹介します。
雑学として披露しても喜ばれますので、是非ご一読を!
なぜ、テストパターンでの調整が必要なのか?
制作者の意図は、色合いなどの表現に込められている。 |
本題に移る前に、なぜテストパターンでの調整が必要かをご説明しましょう。
制作者側では、色合いや濃さなど、映像の見え方が変わらないよう、常に基準に沿って制作しています。 よって、ご家庭のテレビは、チャンネルや番組を変えても、映像の調整をする事無く、快適に試聴が可能です。
しかしながら、映画作品など芸術的な要素を含むものは、制作者の意図で、大なり小なりのトーンが加えられています。 このトーンを無視して、視聴者が好みや正しいと思う映像に調整してしまうと、制作者の意図は伝わらなくなってしまいます。 評論家と呼ばれる人の中にも、未だに「肌色が正しく見えるように調整する」などとアドバイスをしているケースを見かけますが、人の肌の色や見え方はそれぞれですし、制作者の意図した「トーン」は無視される訳ですから、正しい調整方法とは言えません。
制作者の意図した映像を忠実に再現するには、テストパターンを用いた調整が重要である事をご理解頂けるでしょう。