名所・旧跡

「神様が架けた橋」と称される絶景! 日本三景「天橋立」の神秘と眺望を巡る旅

旅が好きな人にとって日本三景はぜひ一度は訪ねておきたい名所。今回はその日本三景の中から天橋立をご紹介します。「神様が架けた橋」ともいわれた美しい景観は、見る場所によって見え方や印象ががらりと変わります。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

日本国内の名所・旧跡の中で、「日本三景」と称される松島(宮城県)、天橋立(京都府)、宮島(広島県)は、旅が好きな人なら一度は訪ねておきたい名所。どの名所も風光明媚な美しい風景が印象に残ります。

今回は、日本三景の中から天橋立(あまのはしだて)をご紹介します。美しい海の真ん中に細く延びる松林を見下ろす風景は、すてきな旅の思い出になりますよ。
<目次>
天橋立(4)/天橋立傘松公園からの眺め「斜め一文字」

天橋立傘松公園から眺める天橋立(2023年11月撮影)

自然の摂理が生み出した稀なる景観

天橋立(1)/飛行機からの眺め

天橋立を羽田から出雲に向かう飛行機から望む(2014年4月撮影)

天橋立は、京都府北部の宮津市に位置しています(兵庫県ではありません)。

日本海に面する丹後半島から続く若狭(わかさ)湾の奥深く、宮津湾の真ん中を分断するかのように細い陸地が延びる風景は、他では見られない貴重なもの。

この貴重な風景は、日本海の荒波が削って流れてきた砂と、宮津湾に流れ込む野田川から流れてきた砂が、宮津湾の真ん中でぶつかり、気の遠くなるような年月を経て砂嘴(さし)と呼ばれる細長い陸地を形成したことで生まれました。

自然が生み出したこの不思議な景観に対しては、浦島伝説も記された古文書『丹後風土記』の中では、「イザナギとイザナミの2人の神様が天上から大地に架けた橋が倒れてしまい、天橋立ができた」という神話まで語り継がれています。
天橋立(2)/松林

天橋立の中。8000本にも及ぶ松林が続きます(2015年5月撮影)

天橋立は全長およそ3.6kmで、8000本もの松が茂る中を散策したり、レンタサイクルで駆け抜けたりできます。また、両岸を結ぶ観光船に乗って海上からその景色を眺めることも可能です。
天橋立(3)/観光船から望む

天橋立観光船からカモメと共に天橋立を望む。左側の緑が天橋立(2023年11月撮影)

レンタサイクルショップによっては、片道は自転車で天橋立を横断し、対岸で自転車を乗り捨てて、帰りは観光船を利用するプランを選べるところもあります。観光にかけられる時間を考慮して、最適なコースを選びましょう。

国内でも珍しい可動橋、廻旋橋は注目!

天橋立/廻旋橋(1)

天橋立駅から天橋立へ向かう時に渡る小天橋(2015年5月撮影)

高い位置から見ると陸続きに見える天橋立ですが、実は南側の文殊(もんじゅ)地区とはつながっていません。そこへ行くには、大天橋と小天橋という2つの橋を渡る必要があります。
天橋立/廻旋橋(2)

小天橋は全国でも珍しい橋げたが動く廻旋橋(2015年5月撮影)

小天橋は赤い欄干が印象的な小さな橋ですが、この橋がかかる水路(文殊水道)は観光船が行き来するため、船が通る際には、橋げたが90度回転して航路を確保する廻旋橋(かいせんきょう)となっています。
天橋立/廻旋橋(3)

廻旋橋の橋げたが動いて航路が確保された中を観光船が行く!(2015年5月撮影)

国内でも珍しい構造の橋なので、船が通る際はぜひ注目してください。船の運航状況にもよりますが、日中は約30分間隔で橋が回転し、船を通す光景を見ることができます。

高い位置から天橋立の全景を眺めてみよう

天橋立(5)/天橋立傘松公園からの眺め「斜め一文字」

天橋立傘松公園から望む天橋立「斜め一文字」(2023年11月撮影)

天橋立を満喫するなら、やはり高い位置からその全景を眺めるのがおすすめです。いくつかある展望スポットからは、天橋立との位置関係によってそれぞれ異なる雰囲気を楽しめます。

天橋立の北側に位置する府中地区からは、宮津湾を天橋立が斜めに横切る「斜め一文字」と呼ばれる景色を望めます。この眺めを楽しめるのは天橋立傘松公園です。
天橋立ケーブルカーとリフト

天橋立傘松公園への交通手段となる天橋立ケーブルカーとリフト(2023年11月撮影)

天橋立傘松公園へは、宮津湾に面した府中駅より天橋立ケーブルカー(傘松ケーブル)またはリフトに乗って登ります。

※天橋立ケーブルカーは、2025年5月7日~8月8日まで工事運休。この期間中はリフトでのみ天橋立傘松公園へ登れます
※天橋立傘松公園全体は、2025年6月2日~11日まで営業休止期間あり
天橋立ケーブルカーと天橋立

「斜め一文字」の天橋立をバックに天橋立ケーブルカーが登る(2023年11月撮影)

天橋立傘松公園には、スカイデッキやコロッセオなど「斜め一文字」の天橋立を見下ろせるスポットがそろいます。
天橋立(6)/天橋立傘松公園の「股のぞき台」から

天橋立傘松公園「股のぞき台」と天橋立の眺め(2023年11月撮影)

天橋立の名物といえば「股のぞき」です。傘松公園には「股のぞき台」があり、天橋立に背を向けて体を前に倒し、股の間から眺めると、まさに「天に架かる橋」のように見えます。旅の思い出作りに、ぜひ楽しみながら挑戦してみてください。
天橋立ビューランドのモノレールとリフト

天橋立ビューランドへの交通手段となるモノレールとリフト(2023年11月撮影)

天橋立の南側に位置する文殊地区では、龍が飛び立つように天橋立がうねって見える「飛龍観」と呼ばれる景色が見られます。「飛龍観」が見られるのは天橋立ビューランド。天橋立駅近くの乗り場からモノレールまたはリフトで高台に上ります。
天橋立ビューランドのモノレールと天橋立

天橋立ビューランドから望む天橋立「飛龍観」とモノレール(2015年5月撮影)

天橋立ビューランドには、コンパクトな観覧車や、広場より一段高い場所から天橋立を見下ろせる飛龍観回廊など、さまざまな鑑賞ポイントがあります。
天橋立(7)/飛龍観回廊から望む

天橋立ビューランド・飛龍観回廊から望む天橋立「飛龍観」(2015年5月撮影)

天橋立傘松公園から見る景色とは趣が異なり、ここでは龍が飛び立つようにうねる天橋立の姿が印象的です。
天橋立(8)/天橋立ビューランド「股のぞき台」から

天橋立ビューランド「股のぞき台」と天橋立の眺め(2015年5月撮影)

ちろん、天橋立ビューランドにも「股のぞき台」があるので、旅の思い出作りにぜひ「股のぞき」を試してみてください。

この他にも、東側から天橋立を真横に望む「雪舟観(せっしゅうかん)」、西側から天橋立を望む「一字観」が宮津市内にあります。これらは「斜め一文字」「飛龍観」と合わせて、天橋立が美しく見える「四大観」と称されています。もし時間があれば、いろいろな角度から天橋立を眺めてみることをおすすめします。


日本三景の1つ、天橋立をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

天橋立には、日本三文殊の1つに数えられる智恩寺 文殊堂や、西国三十三箇所霊場の札所である成相寺(なりあいじ)といった古刹があります。また、少し足を伸ばせば、伊根の舟屋など素朴な風景が残る丹後半島や、美しい海の景色が続く若狭湾など、見どころが豊富です。おいしい日本海の食材を堪能しつつ、ぜひ天橋立を訪れてみてください。

天橋立へのアクセス

アクセス:
京都丹後鉄道 天橋立駅

天橋立観光の起点となる京都丹後鉄道 天橋立駅(2023年11月撮影)

■天橋立駅まで
<鉄道>
京都丹後鉄道「丹後の海」

京都と天橋立を結ぶ直通特急「はしだて」の一部列車に使われる京都丹後鉄道「丹後の海」(2023年11月撮影)

・東海道新幹線 京都駅より、JR西日本から京都丹後鉄道に直通する特急「はしだて」に乗車し、天橋立駅下車。
・東海道新幹線 新大阪駅から、JR西日本 特急「こうのとり」で福知山へ。福知山から京都丹後鉄道に乗り換えて、天橋立駅下車。

<飛行機>
・大阪・伊丹空港からコウノトリ但馬空港へ行き、空港連絡バスで豊岡駅へ。
豊岡駅から京都丹後鉄道に乗車し、天橋立駅下車。

<高速バス>
・京都駅から丹後半島方面へ向かう丹後海陸交通バスの高速バスが天橋立駅に止まります。
また大阪駅・新大阪駅から丹海峰山車庫行きの高速バス(丹後海陸交通、阪急バスの共同運行)も天橋立駅に止まります。

<車>
・京都縦貫道 宮津天橋立インターチェンジ、もしくは山陰近畿道 与謝天橋立インターチェンジまで走り、天橋立方面へ。

●天橋立の松林
天橋立駅から松林の入口である廻旋橋まで徒歩5分程度。

●天橋立傘松公園
・天橋立駅から丹後海陸交通バス 伊根郵便局前、蒲入(かまにゅう)行きに乗車し、天橋立ケーブル下バス停下車。
歩いてすぐの府中駅より、天橋立ケーブルカーまたはリフトで傘松駅へ。
・智恩寺近くの天橋立桟橋より天橋立観光船に乗船して、一の宮桟橋で下船しても天橋立ケーブルの府中駅に歩いて行くことができます。

●天橋立ビューランド
・天橋立駅から徒歩5分程度。モノレールまたはリフトで遊園地や展望台のある園内へ登ります。

<地図>
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「関西の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで関西の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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