実際、フリーランスが受け取れるのは「国民年金」だけ。会社員のように「厚生年金」が上乗せされない分、将来の受取額が少ないという現実があります。
今回は、フリーランスの方がもらえる年金の仕組みと、今からできる老後資金の備えについてご紹介します。
フリーランスが加入するのは国民年金
国民年金は、20歳以上60歳未満の全ての人が加入する「年金の基本」となる制度です。フリーランスや自営業の方は「第1号被保険者」として、自分で保険料を納めます。一方、会社員や公務員は「第2号被保険者」にあたり、勤務先を通じて「厚生年金」に加入します。厚生年金に加入していれば、同時に国民年金にも加入していることになり、保険料も会社と本人の折半で給料から自動的に引かれます。
そのため会社員や公務員は、将来「老齢基礎年金(国民年金分)」と「老齢厚生年金(厚生年金分)」の両方を受け取れます。
国民年金保険料や受給額はいくら?
フリーランスや自営業者の方が支払う国民年金の保険料は、2025(令和7)年度で「月額1万7510円(年額21万120円)」です。そして、将来受け取れる国民年金(老齢基礎年金)の満額は、令和7年度で「月額6万9308円(年額83万1700円)」となっています。
ただし、この満額をもらうには、20歳から60歳までの40年間全ての保険料をきちんと納めていることが条件です。学生時代や無職の期間などに納付していない月があると、その分だけ年金額は減ってしまいます。
フリーランスが年金を増やすためにできること
前述のとおりに会社員や公務員の場合、公的年金として「老齢基礎年金」に加え「老齢厚生年金」も受け取れますが、フリーランスや自営業者は「老齢基礎年金」のみです。満額でも月額7万円ほどですから、それだけで老後の生活を賄うのは正直むずかしい……と感じる方も多いはず。そこで、少しでも将来の年金額を増やすために、今からできる備えをいくつかご紹介します。●国民年金基金
国民年金基金は、国民年金に上乗せする「もう1つの年金」。加入することでフリーランスや自営業者の方も、将来もらえる年金額を増やせます。保険料も自分で決められ、全額が所得控除の対象になるため、節税効果も期待できます。
参照:年金を増やすなら50代がラストチャンス|国民年金基金
●付加年金
付加年金は、月々の国民年金保険料に400円プラスで支払うだけで、老齢基礎年金に付加年金が上乗せされる制度です。付加年金の年金額は「200円×加入月数」。長生きすればするほどお得です。ただし、国民年金基金に加入している人は対象外になります。
参照:付加年金|日本年金機構
●小規模企業共済
小規模企業共済は、フリーランスや自営業者の方の「退職金」を準備するための制度です。掛金は、月額1000円~7万円の範囲内(500円単位)で自由に設定できます。掛金は全額所得控除になり、老後だけでなく、事業の資金が必要なときにも借り入れができるなど、心強い制度です。
掛けていた共済金は、退職・廃業するときに受け取ります。共済金等の受取方法は、一括受取り、分割受取り、一括受取りと分割受取りの併用と3種類から選べます。
参照:制度の概要|共済制度|独立行政法人 中小企業基盤整備機構
●iDeCo(イデコ)
毎月一定額を積み立てて、自分で運用し資産形成します。自営業者の月の上限額は6万8000円です。原則60歳以降に年金や一時金として受け取れる私的年金制度です。
・掛金は全額所得控除
・運用益も非課税
・受取時も控除あり
運用なのでリスクもありますが、長期間コツコツ積み立てることで安定した資産形成が期待できます。
参照:iDeCoの特徴|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
まとめ
フリーランスは自由な働き方ができる一方で、公的年金だけでは老後の生活に不安を感じる人も少なくありません。でも、今のうちからしっかり備えておけば、不安を安心に変えられます。・まずは「自分がどのくらい年金をもらえるのか」を把握
・そして、国民年金基金・付加年金・小規模企業共済・iDeCoなど、自分に合った備えを考える
少しずつでいいので、「じぶん年金」の準備を始めていきましょう。