今回は、金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査2024年」から、60代の金融資産保有額の実態を見てみましょう。
60代・単身世帯のトップは「資産ゼロ」、2位には「3000万円以上」が
まずは、60代・単身世帯がどの程度、金融資産を持っているか見てみましょう。・1位:金融商品非保有……27.7%
・2位:3000万円以上……16.8%
・3位:100万円未満……8.9%
・4位:1000万~1500万円未満……8.2%
・5位:2000万~3000万円未満……6.1%
なお、60代単身者の金融資産保有額の平均は1679万円。中央値は350万円です。この調査の金融資産には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険などが含まれています。また、日常的な出し入れ・引き落としに使用される普通預金の残高は含まれていません。
60代の単身世帯では、「金融商品を保有していない」と答えた人が最も多く、全体の約28%を占めました。
一方で、「3000万円以上の資産を保有している人」も約17%と一定数見られます。このことから、資産の保有状況には幅があり、人によって大きな差があることが分かります。
平均額は1679万円ですが、中央値は350万円と大きな開きがあり、実際は一部の高額資産保有者が平均を引き上げている構図が見てとれます。
60代・二人以上世帯も「3000万円以上」は2位!「資産ゼロ」は2割超
続いて、60代が世帯主の二人以上世帯の金融資産保有額はどうでしょうか。・1位:金融商品非保有……20.5%
・2位:3000万円以上……20.0%
・3位:1000万~1500万円未満……8.9%
・4位:2000万~3000万円未満……8.0%
・5位:100万円未満……6.5%
なお、60代が世帯主の二人以上世帯の金融資産保有額の平均は2033万円。中央値は650万円です。
60代で二人以上の家族がいる世帯でも、「金融商品非保有」が1位で約20.5%。とはいえ、それに僅差で「3000万円以上」が20.0%と続いています。
単身世帯との違いとしては、全体的に資産額がやや多めである点が挙げられます。平均額は2033万円、中央値は650万円と、いずれも単身世帯より高い水準です。これは、夫婦で年金を受給しているケースが多いことに加え、就労を続けている世帯も一定数あることが背景にあると考えられます。
また、世帯人数が多いほど生活費はかかるかもしれませんが、資産形成の意識や貯蓄意欲も高まりやすく、安定的な家計管理につながる可能性もあります。
60代以降に貯金を増やすには?
「老後資金はできるだけたくさんあったほうがいい」と思いがちですが、大切なのは自分の生活スタイルに合った「お金の使い方」と「資産の守り方」を考えることです。60代は年金生活が始まったり、働き方を変えたりと、大きな転機を迎える時期でもあります。だからこそ、インフレや長生きのリスクに備えて、貯金を少しずつでも増やしていく努力は続けていきたいもの。
おすすめなのが「先取り貯金」。収入が入ったらすぐに、一定額を別の貯金口座に移しておく方法です。こうすれば、使い過ぎを防ぎ、着実にお金を貯められます。
さらに、スマホ代や保険料などの固定費を見直すことで、生活に負担をかけずに貯金に回せる余裕も生まれます。
また、新NISAなどを活用した分散投資は、インフレに強く、資産を育てながら守る手段として心強い味方になります。無理のない範囲で、できることから始めてみましょう。