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子どもたちや先生の袴姿はキリっとしていてすてきですが、保護者が着てもいいのでしょうか?
All About編集部が全国10~70代の男女100人を対象に募集した「年間行事やイベントのマナーや由来に関する素朴な疑問」(期間:2025年1月28~29日)より、「親が袴(はかま)で卒業式に出席する」是非や和装についての疑問にお答えします。
卒業式に親が袴を着たら「目立ち過ぎ」てマナー違反?
「目立ち過ぎる」という理由ではなく、「礼装ではない」という理由で保護者が袴を着て卒業式に出席するのはマナー違反です。卒業式に女子生徒・学生や学校の関係者、例えば教師が袴を着用されているのを見かけますが、これはもともと袴が制服として扱われていたからです。実際、『〔精選版〕日本国語大辞典』(小学館)には、
と記されています。親が制服を着て出席することになってはおかしいですよね。「女袴(オンナバカマ):女学生や女教師などが和装の学校服として用いた襠(まち)のない袴」
一方、礼装とはフォーマルシーンで着るのに適した正式な服装のことを表します。保護者は、袴以外から式典にふさわしい着物を選べばいいでしょう。
Q. フォーマルな着物はどう選べばいいですか?
和服といっても、いろいろ種類があります。格の高いものから順に並べてみました。■訪問着
略礼装の社交着として一般的。古典的なものから豪華な絵柄、モダンな抽象柄とさまざまな種類があります。付け下げや小紋に比べ少し派手になりますが、格が高い訪問着がおすすめ。
■付け下げ
染める工程を簡略にした訪問着の略式。訪問着と比べて模様が少ないため、華やかさに欠け、少々地味な印象も。お出かけからパーティまで広範囲に着られます。卒業式や入学式には最適。
■色無地
慶弔どちらにも着ることができますが、両用で使うなら光沢の少ない布地で、明るい色を避けること。一つ紋か三つ紋がついていると改まった席でも通用します。帯を変えるだけで、幾通りにも着られます。もちろん卒業式・入学式ともにOKです。
■小紋
「染め」着物の代表的なもので、着物全体に細かい模様が繰り返されているのが特徴です。ほとんどの着物が、精巧な型紙を使った型染めです。他に、絞り染めや更紗(さらさ)なども。小紋は普段着扱いに近いので、卒業式・入学式などの式典にはふさわしくありません。
着物の色はピンク、若草色、藤色など、柄は春を感じられる梅、桜などがいいでしょう。ただし主役は子どもなので派手な絵柄はNG! 気をつけましょう。思いきって着物を選んでみてもいいですし、レンタルするという手もあります。