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映画ライターが「第97回アカデミー賞」を大予想!今年は大混戦で“まさかのどんでん返し”があるかも!?

もうすぐ第97回アカデミー賞授賞式です(日本時間2025年3月3日)。今年は本命なき大混戦ですが、映画ライターの筆者が主要部門の予想をしてみました!

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

第97回アカデミー賞受賞式が迫ってきました!

第97回アカデミー賞受賞式が迫ってきました!

いよいよ第97回アカデミー賞授賞式が迫ってきました。昨年は『オッペンハイマー』という大本命がありましたが、今年は大本命がなく予想が難しい。ただ、今年も予想してみましょう! 本命(◎)、対抗(〇)、大穴(△)で選びました。まずは作品賞からいきましょう!
 
<目次>
 

作品賞は『ブルータリスト』VS『ANORA アノーラ』

ブルータリスト

(C)DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVES (C)Universal Pictures

2025年のアカデミー賞作品賞は混戦! 前哨戦(ゴールデングローブ賞などの全米各地の映画賞)で強かったのは『ブルータリスト』『ANORA アノーラ』ですが、数年に1度、どんでん返しもあるのでまだ分かりません!
 
とはいえ筆者は、作品賞は『ブルータリスト』か『ANORA アノーラ』ではないかと予想。『ブルータリスト』は、第2次世界大戦下のホロコーストから逃れアメリカンドリームをつかもうとやってきた建築家の30年を描いた作品。お金持ちのスポンサーを得るもののその男に振り回され続ける姿、安易にサクセスストーリーに着地させない物語と大胆な映像美が、力強い作品でした。
 
『ANORA アノーラ』はシンデレラストーリーのような展開だけれど、ヒロインの王子様がロシアのお金持ちのバカ息子というのが面白すぎる! 前半はコミカル、後半は切なくて胸が痛くなる作品。
 
大穴は『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』。ボブ・ディランの若き日を描いた作品で、分かりやすく手堅く、隙がない。主演のティモシー・シャラメのほか、俳優陣が皆完璧でした。
  
本命:『ブルータリスト』
対抗:『ANORA アノーラ』
大穴:『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』

 
その他の作品賞候補作:『エミリア・ペレス』『教皇選挙』『デューン 砂の惑星PART2』『アイム・スティル・ヒア』『ニッケル・ボーイズ』『サブスタンス』『ウィキッド ふたりの魔女』
 

監督賞はコーベット監督VSベイカー監督

『アノーラ』

『ANORA アノーラ』のショーン・ベイカー監督は有力候補! (C)2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved. (C)Universal Pictures

今回の監督賞で驚くべきは候補者全員がファーストノミネーションであること! ベテランのジェームズ・マンゴールド(『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)でさえ、初なんです。
 
監督賞は長尺の映画を見事に見応えある作品にまとめ上げたブラディ・コーベット監督(『ブルータリスト』)か、ストリッパーのヒロインのジェットコースターのような恋愛と人生をユーモラスにかつ哀愁を漂わせて演出したショーン・ベイカー監督(『ANORA アノーラ』)か……。

大穴は映像&美術の美しさとは裏腹にグロテスクな女性たちを描き、社会風刺も効かせたコラリー・ファルジャ監督(『サブスタンス』)の振り切った演出を推したい。
 
本命:ブラディ・コーベット『ブルータリスト』
対抗:ショーン・ベイカー『ANORA アノーラ』
大穴:コラリー・ファルジャ『サブスタンス』

 
その他の監督賞候補:ジェームズ・マンゴールド『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』、ジャック・オーディアール『エミリア・ペレス』
 

主演男優賞は、ティモシー・シャラメVSエイドリアン・ブロディ

『名もなき者』

ティモシー・シャラメ初受賞なるか? (C)2024 Searchlight Pictures.

ブルータリスト

エイドリアン・ブロディ、全米俳優組合賞主演男優賞を逃したのが痛い? (C)DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVES (C)Universal Pictures

主演男優賞は、『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』のセバスチャン・スタンのみファーストノミネーション。他の4名は候補入りした経験があり、『ブルータリスト』のエイドリアン・ブロディは2002年の『戦場のピアニスト』で第75回アカデミー賞主演男優賞受賞経験があります。
 
さて、予想ですが、『ブルータリスト』のエイドリアン・ブロディが運命に翻弄される男の30年間を熱演しており、2度目の受賞があるかもしれない……と思いつつ、ボブ・ディラン役を確実に自分のものにしたティモシー・シャラメに受賞してほしい気持ちも。

大穴はレイフ・ファインズ(『教皇選挙』)。3回候補になっていますがまだ無冠なので、今回で決める可能性もなくはないです。
 
本命:ティモシー・シャラメ『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
対抗:エイドリアン・ブロディ『ブルータリスト』
大穴:レイフ・ファインズ『教皇選挙』
 

その他の主演男優賞候補:コールマン・ドミンゴ(『SING SING シンシン』)、セバスチャン・スタン(『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』)
 

主演女優賞はデミ・ムーアとマイキー・マディソンの一騎打ち

サブスタンス

主演女優賞候補のデミ・ムーア (C)The Match Factory

「アノーラ」

マイキー・マディソン(画像中央)が受賞してシンデレラガールになる? (C)2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved. (C)Universal Pictures

主演女優賞は『ANORA アノーラ』のマイキー・マディソンと『サブスタンス』のデミ・ムーアの一騎打ちでしょう。マイキーが演じたのは、ロシアのお金持ちの御曹司とノリで結婚したストリッパー。前半はセクシー&コミカルに。後半は手からこぼれ落ちそうな幸福を必死に取り戻そうとするヒロインを体当たりで演じ抜きました。
 
デミ・ムーアは1990年代に大活躍したスター女優。『サブスタンス』では、ある物質を体に取り入れて若さと美を手に入れようとする元スター女優を怪演! かつて全身を整形して完璧な美ボディーを手に入れたデミ。そんな自虐的な役を一世一代のパフォーマンスで魅せ切りました! 個人的には彼女のカムバックがうれしいし、凄みある演技が忘れられないのでデミが本命。

シンシア・エリヴォ(『ウィキッド ふたりの魔女』)は主演ですがそんなに見せ場はないんですよね。カイラ・ソフィア・ガスコン(『エミリア・ペレス』)は過去のSNSでの過激な発言が問題視されているし……と。よって、ゴールデングローブ賞を受賞しているフェルナンダ・トーレス(『アイム・スティル・ヒア』)を大穴に。可能性は、ゼロではないです。
 
本命:デミ・ムーア『サブスタンス』
対抗:マイキー・マディソン『ANORA アノーラ』
大穴:フェルナンダ・トーレス『アイム・スティル・ヒア』

 
その他の主演女優賞候補者:シンシア・エリヴォ『ウィキッド ふたりの魔女』、カイラ・ソフィア・ガスコン『エミリア・ペレス』

助演男優賞は、キーラン・カルキンで決まりか!

「リアルペイン」

画像左が大本命のキーラン・カルキン (C)2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

ブルータリスト

キーランは強敵ですが、ガイ・ピアースの可能性なくはない (C)DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVES (C)Universal Pictures

助演男優賞は、前哨戦で独走状態のキーラン・カルキン(『リアル・ペイン~心の旅~』)が本命。ユダヤ人の祖母の遺言に従って、いとこと一緒に世界大戦の史跡ツアーに参加するロードムービーで、一見、面倒くさそうなタイプだけれど、実はかなり繊細なキャラクターという難役を輝くようなパフォーマンスで見せています。
 
対抗は『ブルータリスト』のガイ・ピアース。主人公の建築家をサポートしながらも翻弄する実業家役。ものすごい圧を感じさせる芝居は印象深い。

大穴は大いに迷ったのですが、登場シーンからインパクト大だった『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』のジェレミー・ストロングにしました。
 
本命:キーラン・カルキン(『リアル・ペイン~心の旅~』)
対抗:ガイ・ピアース(『ブルータリスト』)
大穴:ジェレミー・ストロング(『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』)

 
その他の助演男優賞候補者:エドワード・ノートン(『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)、ユーリー・ボリソフ『ANORA アノーラ』
 

助演女優賞は、アリアナ・グランデ推し! 

「ウィキッド ふたりの魔女」

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

「エミリア・ペレス」

ゾーイ・サルダナが前哨戦では優位だけれど、果たして! (C)DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVES (C)Universal Pictures

助演女優賞は『ウィキッド ふたりの魔女』のアリアナ・グランデVS『エミリア・ペレス』のゾーイ・サルダナの一騎打ちかなと。

筆者の推しはアリアナ・グランデ! 今回のアカデミー賞候補作の中で、一番華やかでハリウッドのエンターテインメントの楽しさを見せてくれているのが『ウィキッド ふたりの魔女』。

中でもアリアナが演じるグリンダは、主人公のエルファバ(シンシア・エリヴォ)と友情を築き、サポートする役回りだけれど、完全に主役以上の輝きを見せて物語をけん引していました。コミカルな芝居の中で温かさを感じさせる演技は本当に魅力的でずっと見ていたかったくらいです。
 
『エミリア・ペレス』のゾーイ・サルダナは主人公のエミリアを支えるパートナー的な位置で、主演のカイラ・ソフィア・ガスコンがかすむほどの魅力的なパフォーマンスを披露しています。とても重要なキャラクターなので助演女優賞を受賞しても文句なし。

大穴は……、『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』のモニカ・バルバロ! 歌手のジョーン・バエズ役で歌も披露。『トップガン マーベリック』の女性パイロット役もかっこよかったですし、今後の活躍に期待を込めて。
 
本命:アリアナ・グランデ(『ウィキッド ふたりの魔女』)
対抗:ゾーイ・サルダナ(『エミリア・ペレス』)
大穴:モニカ・バルバロ(『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)


その他の助演女優賞候補者:イザベラ・ロッセリーニ(『教皇選挙』)、フェリシティ・ジョーンズ(『ブルータリスト』)
 

第97回アカデミー賞授賞式をLIVEで見よう! 

第97回アカデミー賞授賞式は、日本時間で3月3日(月曜日)に開催されます! 今年もLIVEで見られますよ!
 
<テレビ生中継>
NHK BS:3月3日(月)午前8時~12時30分
※レッドカーペット中継もあり

スタジオゲストは、俳優の佐々木蔵之介さん、トラウデン直美さん、キャスティングディレクターの奈良橋陽子さんです。

昨年までWOWOWで生中継していましたが、今年はNHK BSです。お間違えのないように。

皆さんも受賞予想をしてみてください。予想が当たるか否か……。授賞式をドキドキしながら見守りましょう!

<参考>
NHK BS『生中継!第97回 アカデミー賞 授賞式
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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