いまだに1000人前後が土砂の下敷きに……
レイテ島(Leyte)はフィリピン中部に位置している。レイテ島沖は、太平洋戦争での激戦地ともなった。 |
中でも痛ましいのは小学校が丸々土砂に埋まってしまい、児童246人の生存がいまだに確認されていないことです。現地では「土砂の下敷きになった教諭の携帯電話から、『早く助けてくれ』と連絡があった」とか、「児童50名の生存が確認された」など噂も駆けめぐっているとのことで、混乱した状況が伝わってきます。
21日朝には、フィリピン軍と米軍の計300人に、台湾、マレーシアなどの国際救助チームを合わせた計約2000人が現場で救出活動を行いました。しかし、高さ30m以上の高さまで、土、砂、泥そして岩に埋まってしまった被災地は、地盤が緩くなっています。重機での作業が困難であるため、掘削作業は進んでいません。生存者の救出は当日をのぞいてゼロのままです。
原因は、森林伐採? 自然災害?
今回の地滑りの直接的な原因は、現地で2週間にも渡り豪雨が続き、地盤が緩んでいたことでした。また、直前に地震があったという情報もあり、州政府は自然災害であるとの見解を示しています。しかし、過剰な森林伐採が続けられていたことが、その背景にあることも指摘されています。1960年代以降、フィリピンをはじめ、東南アジア各国では無計画な森林伐採が繰り返されてきました。主な輸出先は日本、そして最近では中国です。
中国は自国の森林伐採がいきすぎたことで、洪水などの被害が相次いでいます。そのため、東南アジアやロシアから木材を輸入し、米国に続き、世界第2位の木材輸入国となっているのです。
森林保護を訴える声が高まると共に、フィリピン政府は80年代以降、森林伐採を厳しく取り締まってきました。しかし、海外からのニーズがあることで、違法伐採が繰り返されてきたというのです。政治家や密輸業者と手を組んでいることもささやかれています。中でも、被災地のギンサウゴン村は「違法業者が暗躍する村」として知られていたともいわれます。
そういった無理な森林伐採によって、フィリピンでは過去30年で53%もの森林が失われたといわれるほどです。その結果、大雨による土砂災害がたびたび発生しており、レイテ島では1991年にも大きな土砂災害があって多数の被害が出ています。今回の災害も州政府が自然災害を強調するにも関わらず、山林の過剰伐採・違法伐採が原因として指摘されるのはそのためです。