ボランティア/ボランティア関連情報

シニア世代のボランティア探し 3つのポイント&5つの心得

シニアの皆さんの豊富な経験をボランティアで役立ててみませんか? シニア世代は、その豊かな経験や知識、技術は、市民社会の大きな財産として、大注目されている世代です。写真提供:野町和嘉/JICA

筑波 君枝

執筆者:筑波 君枝

ボランティアガイド

現役を退き、新しい人生のスタートを切ったシニアは、ボランティアの担い手として期待の世代
シニアの皆さんが社会の最前線で培った豊富な経験をボランティアで役立ててみませんか? 少子高齢化社会を迎え、シニア世代は、ボランティア界(?)大注目の世代。なぜなら、深刻になる一方の高齢者福祉や社会保障の維持を、シニア世代自身が共に考え、解決していく仕組みが必要とされているためです。シニアが持つ豊かな経験や知識、技術は、市民社会の大きな財産といえます。

新しい人生のスタートを切った今だからこそできるボランティア。それを探す3つポイントと、活動をする上で心にとめておきたい5つの心得をご紹介しましょう。

INDEX
シニア世代のボランティア探し 3つのポイント……P1
シニア世代のボランティアの心得 5カ条……P2

ポイント1「自分らしく、気負わずに」が、第一歩

ブータンで活動するJICAシニア海外ボランティア。培ってきた技術を生かすボランティアとして、人気が高い。写真提供:野町和嘉/JICA
経験豊富なシニア世代だからこそ、ボランティアでも専門性のあることや、これまでの仕事で培った知識や能力を最大限に生かし、活躍したいと思っている方も多いでしょう。確かに、企業社会で培った高い能力を生かして、活躍する場もたくさんあります。途上国の支援活動を行うJICAのシニアボランティアなどはその代表です。ほかにも、経理の経験があったり、パソコンや語学が得意な方が、NPOやNGOの事務局を支えている例は数多くあります。

でも、最初から高い水準を求めてしまうのは失敗のもと。気負いすぎに、まずはできることから始めてみることも大切です。たとえば、福祉や介護の現場なら、車の運転、大工仕事、それに草むしりやそうじなど。NPOやNGOの事務局なら、簡単な電話の応対、郵便物の発送作業、パソコンでの文書入力、簡単な英語の読み書きなど、様々なボランティアが必要とされています。こういったことは、企業社会では「できて当たり前」あるいは「役に立たない」と見過ごされそうなことばかりでした。でも、ボランティアでは、その小さな「できること」も、大切な力なのです。

これまでの仕事は、会社の利益をあげるため、家族の生活を支えるためのものでした。でも、ボランティアは自分のため。気負わず、楽しく取り組みたいものです。「これといった趣味はないけれど、ボランティアならできるかも」「せっかくゆとりができたのだから、ボランティアでも始めよう」くらいの軽い気持ちで探してみましょう。自分らしく、楽しくできることなら、長続きしますし、「もっとやってみたい」と思うことなら、活動していくうちに結果として社会に貢献できているはずです。

ポイント2「人の役に立った体験」を思い出してみる

ボランティアといっても、福祉、環境保護、人権擁護、国際協力など、その分野も活動も多岐に渡ります。自分に何ができるのか、興味や関心がどこにあるのかが絞れないという方も多いでしょう。

そういったときは子ども時代や青春時代の「人の役に立った体験」を思いだしてみることがオススメです。たとえば、地域の活動で役に立ったと充実感を感じたり、とても困っているときに誰かが差しのべてくれた手の温かさをずっと覚えていたり。社会に矛盾を感じ、熱く語り合ったなんていう体験でもOK。それがあなたのボランティアの原体験と考え、そのときの満ち足りた気持ちをもう一度思い出してみてください。その延長線上にある「何か」と出会えるかもしれません。

ポイント3「やってみたかったけど、できなかったこと」をボランティアで実現する

モンゴルの子どもたちに囲碁を教えるシニア海外ボランティア。長く続けてきた趣味や特技を持っている人も即戦力だ。写真提供:今村健志朗/JICA
シニア世代にとってのボランティアは、新たなる可能性を探す「自分探し」の場でもあります。「どんなボランティアができるのか」、「どんな活動をしてみたいのか」を心に問いかけるには、それまでの過去と向き合い、自分自身を深く見つめる作業が必要なのです。就職、結婚、子どもの誕生・入学・卒業、昇進、退職など人生の節目を起点にしながら、自分の歩いてきた道をふりかえってみましょう。

いわば自分史です。節目、節目で、家族や夫婦関係は良好だったか、友人や同僚とはうまくいっていたか、健康状態は良好だったか、趣味や学びたいことに没頭できていたか、仕事は順調だったか、仕事以外で社会に貢献できていたかといった事柄を振り返り、紙に書き出してみるといいでしょう。

すると、たとえば「本当は美術関係の仕事に進みたかったが、安定性を考えて一般企業に入社した」、「仕事に追われ、子どもと一緒にいる時間が少なかった」など、自分に欠けていたことは何だったかのかが見えてきます。それが見えてくるとしめたもの。仕事にしたいほど美術に関心があったなら美術館や博物館のボランティアに挑戦したり、子どもともっと一緒にいてあげたかったと悔いが残るなら地域の子ども会に参加してみたりと、欠けている部分を豊かにすることに重点を置き、ボランティア探してみるのも1つの方法です。

次ページでは、活動前に心にとめておきたい ボランティアの心得5カ条をご紹介しましょう
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