年金

配偶者加給年金は、将来的に見直しになる?もらえる期間が異なるのは不公平と言う意見も?

令和6年12月3日に社会保障審議会(年金部会)で「年金版の家族手当」とも言える加給年金について見直しが検討されました。特に配偶者がもらえる加給年金については、夫婦の年齢差によってもらえる期間が異なるのは不公平と言う意見があります。

拝野 洋子

執筆者:拝野 洋子

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 / 年金・社会保障ガイド

  • Comment Page Icon

加給年金が加算される年金は「老齢厚生年金」「遺族基礎年金」「障害基礎年金」「障害厚生年金」

社会保障審議会(年金部会)では、定期的にこれからの年金の在り方について話し合っています。令和6年12月3日に行われた年金部会では「年金版の家族手当」とも言える加給年金について見直しが検討されました。

そもそも加給年金とは、対象の配偶者または子どもがいる年金受給者に加算される年金のことです。家族がいると加算されるため、「年金版の家族手当」と言われます。

加給年金が加算される年金とは、「老齢厚生年金」「遺族基礎年金」「障害基礎年金」「障害厚生年金」です。
加給年金 配偶者加給 子加算

令和6年12月3日付社会保障審議会(年金部会)「年金制度における子に係る加算等について」

「老齢厚生年金」の加給年金をもらえる人とは

まずは、老齢厚生年金に加給年金が上乗せされる人について見てみましょう。

老齢厚生年金をもらう人に、20年以上厚生年金期間があり、65歳時点で生計維持する要件を満たした65歳未満の要件を満たす配偶者※や、子ども(18歳年度末まで。障害1、2級の子どもは20歳まで)がいると、加給年金が老齢厚生年金に加算されることになります。

※以下の全ての要件を満たすと、配偶者に係る加給年金がもらえることになります。
1. 配偶者に20年以上の厚生年金期間に基づく老齢厚生年金を受けとる権利がないこと。
2. 配偶者が障害年金、65歳以降の老齢基礎年金を受給していないこと。
3. 年収がおおむね850万円を超えていないこと。
 

「障害基礎年金」「障害厚生年金」に加給年金が加算される人とは

障害年金(障害基礎年金と障害厚生年金)に加給年金が加算される人とは、以下の通りです。

障害年金を受給する本人が障害等級1、2級の場合、受給権が生じたとき、またはその後、結婚や出生で生計を維持する配偶者・子ども(18歳年度末まで。障害1、2級の子どもは20歳まで)がいる場合に障害厚生年金に配偶者加給年金が、障害基礎年金に子どもの加給年金が加算されることになります。

配偶者が受給する「遺族基礎年金」には子どもの加算あり

遺族基礎年金は子ども(18歳年度末または障害1、2級の20歳未満)のいる配偶者、または子どもが受給する年金です。配偶者が遺族基礎年金を受給する場合は、必ず子どもの加算がつきます。

令和6年度の加給年金の金額とは

令和6年度の配偶者加給年金の金額は、以下の通りです。

老齢厚生年金に加算……年額40万8100円(23万4800円+特別加算17万3300円※昭和18年4月2日生まれ以降/令和7年度は23万9300円+特別加算17万6600円)
障害厚生年金に加算……年額23万4800円(特別加算なし/令和7年度は23万9300円)

子どもが対象の加給年金の金額は、以下の通りです。

老齢厚生年金・遺族基礎年金・障害基礎年金とも共通で、第1子、第2子が年額23万4800円(令和7年度は23万9300円)、第3子以降は年額7万8300円(令和7年度は7万9800円)です。

今、年金部会で話し合われているのは「子どもに係る加給年金の見直し」

今、年金部会で話し合われているのは「子どもに係る加給年金の見直し」です。子どもに係る加給年金は厚生年金に優先して加算し、調整する方向です。最終的に下図のような形になるように検討が行われています。

以下の1~3のように、加給年金を制度に関わらず共通した給付とし、子どもの出生順位によらず同じ金額とすること。厚生年金が優先で調整される方向となっています。また、子どもの要件として国内居住していることを要件にすることが検討されています。

1. 子どもに係る加給年金を、厚生年金・基礎年金のいずれにおいても年金の種別によらず、共通の加算金とすることを検討
2. 第3子以降も第1子、第2子と同じ金額に
3. 子どもに国内居住要件を検討
加給年金見直しの方向性

加給年金を制度に関わらず共通した給付とし、子の出生順位によらず同じ金額とし、厚生年金優先で調整される方向

夫婦の年の差でもらえる「配偶者に係る加給年金」は不公平という話も?

また配偶者の加給年金についても、現在、検討がされています。

老齢厚生年金に配偶者加給を上乗せされるのは、老齢厚生年金がもらえる人が65歳から、生計維持されている人(主に妻)が65歳までとなっています。つまり、年の差によって年額40万8100円(令和7年度は41万5900円)もの金額を受給できる期間が異なり、1歳差と10歳差では、10倍も加給年金の受給総額が違うのです。多い人と少ない人がいるのは、不公平では、という意見は以前から出ていました。

令和6年12月3日の社会保障審議会(年金部会)では、「現在受給している者への支給額は維持した上で、将来新たに受給権を得る者に限って支給額について見直すことを検討してはどうか」と方向性が示されました。

まとめ

このように、「年金部会」では加給年金についても見直しが検討されています。子どもがいる人がもらえる加給年金は手厚くなる方向ですが、年の差夫婦がもらえる加給年金は見直しされると、不利になってしまう人もいるでしょう。これからどのような変更になるのか、気になる人は今後の報道をチェックしてみてください。

【参考】
加給年金とは? 年金をもらう人の年齢によって配偶者の加給年金に特別加算がつく
令和6年12月3日付社会保障審議会(年金部会)資料「年金制度における子に係る加算等について」
 
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2025/3/31まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます