老後の貯蓄がない場合のリスク
老後に貯蓄がないと、主な生活費を公的年金に頼らざるを得なくなります。「2023(令和5)年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金保険の平均年金月額は「14万6429円(老齢基礎年金含む)」。昨今では、食料品や光熱費の値上がりが続く中、生活費の負担は年々増加しており、年金額だけで必要な生活費を賄うことが難しい……いう状況も考えられるのではないでしょうか。老後の貯蓄がなければ、次のような場面に直面する可能性があります。 ●老後の貯蓄がない場合の困りごと1:最低限の生活しかできない
日々の生活を楽しむ余裕がなくなり、趣味やレジャーを満喫する機会が減ってしまう可能性があります。旅行や外食、趣味に使うお金を捻出できず、生活全体が制約の多いものになるかもしれません。自分らしい暮らしを送るためには、生活費以外の「楽しみのための予算」を確保することが重要です。
●老後の貯蓄がない場合の困りごと2:医療費や介護費用が不足
病気やけがで入院した際の医療費負担や、要介護状態になったときの介護費用が支払えなくなる場合があります。
●老後の貯蓄がない場合の困りごと3:住居の維持が困難
持ち家の場合でも、修繕費やメンテナンス費用を捻出できないと、屋根や壁、設備の劣化が進み、住環境が悪化する可能性があります。また、賃貸住宅に住んでいる場合、家賃の支払いが負担となり、住み慣れた場所を離れる選択を迫られることもあるでしょう。安心して暮らせる住まいを維持するためには、住居費用に備えた貯蓄が欠かせません。
●老後の貯蓄がない場合の困りごと4:突発的な支出に対応できない
冠婚葬祭、家電や車の故障、災害による修繕費など、急な出費に備えられないと、生活に支障を来すことがあります。予期せぬ支出は誰にでも起こることでもあり、備えがない場合のリスクは大きいでしょう。
こうした状況に直面すると、身近な家族や親戚などに負担をかけることになるかもしれません。しかし、それも期待できない場合、深刻な経済的困難に陥るリスクが高まります。そんな場合、まずは以下の窓口で相談してみましょう。
老後、生活に困った場合の相談先は?
高齢者がお金に関わる問題を相談できる場所として、社会福祉協議会があります。社会福祉協議会(社協)では、経済的な問題を抱える高齢者を対象にした「生活支援相談窓口」を設けています。そこでは、生活費の相談や、福祉に関する助成制度を利用したい場合の相談ができます。また、「生活福祉資金貸付制度」もあり、高齢者向けに以下のような費用を低利で貸し付ける支援もあります。
・福祉用具の購入費用
・病気療養に必要な経費
・介護サービスを受けるための費用
生活の困りごとに応じたサポートを受けられるので、まずは地域の社会福祉協議会に相談してみましょう。
老後の貯蓄がない人が取るべき行動
老後の貯蓄があまりないという方は、今から行動することで、将来の安心につながります。まず、貯蓄を少しでも増やす努力を始めましょう。現役で働いている間に生活費を見直し、無駄な支出を削減して貯蓄に回せるお金を捻出することが重要です。少額でも積み立てを始めることで、将来に向けた備えが少しずつ増えていきます。また、働き続けるための準備をすることも欠かせません。定年後には継続雇用や再就職を視野に入れるだけでなく、それ以降も働き続けられる方法を考えましょう。フリーランスや副業など、自分の経験やスキルを生かせる働き方を検討することで、収入を得ながら社会とのつながりも維持できます。