「公立中高+塾」と「私立中高一貫」は、本当に同じ教育費?
私立中高一貫校の受験生が増えたとは言え、大多数の中学生は公立中学に入学することを選択している。教育費や大学進学を比べたら、「公立中高+塾」と「私立一貫校」とではあまり差がないという議論もある。この点について検証してみたい。平成17年度「家計における教育費負担の実態調査」国民生活金融公庫総合研究所を元に、中学については独自データを加味した表が次の通り。
中学・高校の教育費公立と私立の差は1 |
別のデータによると次の表になる。
中学・高校の教育費公立と私立の差は2 |
どちらも授業料等以外に塾や習い事、クラブ活動費等を含んでいる。教育費の調査はアンケートによるものなので、調査によって異なるのは致し方ない。いずれの表を見ても、中学高校を公立で過ごすのと私立で過ごすのとでは、教育費については大きな差があることが分かる。
残念ながら私立コースの方が、約2倍近く教育費がかかるのが現実だ。私立に通いながら、通信教育を受けたり、塾や予備校に通う生徒も多い。また塾の月謝と私立の授業料を比較すると、授業料の方が高いということもある。
ただし、東京都内で言えば都立高校での浪人生は多いので、1年間浪人した場合の予備校比を加えて考えると、この差は少し縮まってくる。さらに、私立中高一貫校→国公立大学コースと、公立中学・高校→私立大学コースを比較すれば、ほぼ同程度の教育費になる。
進学する大学が同じと仮定して「経済効率」だけを考えれば、公立コースの方がオトクということが言える。しかし授業内容や設備の充実度を考えて、中高一貫私立コースを選ぶという家庭も少なくないだろう。それが今、大都市圏での私立中学人気であり、私立小学校の新設ラッシュにつながっている。
地元の中学が荒れていなくて、高校も進学重点校だったり、スーパーサイエンス(イングリッシュ)スクール等に指定されている高校が受験できるというなら、十分公立コースを選択する意味がある。授業内容や設備に期待が持てるからだ。また公立高校から有名私立大学へ推薦入試で進む道もあることを付け加えておきたい。
学校における様々な経験・体験を総合的に判断し、
- 経済性を優先する。
- 学校での体験を優先する。(クラブ活動、課外活動、教養教育等)
- 息の長い友人との付き合いを得る。
- 大学進学を優先する。
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