コーチングとは
中学入試成功の鍵は、いかに早く受験生本人をその気にさせるかにかかっている。やらされる勉強から、自ら進んでやる勉強へ転換できればぐーんと伸びると塾関係者からよく聞く。ところが実際は親の思うように勉強がはかどらないと、ついつい子どものやる気を削ぐような言葉をかけてしまいがちだ。そこで子どもをやる気にさせるコーチングという手法を紹介するので、是非ご家庭で試してもらいたい。コーチングはもともとスポーツ界から派生した概念だが、その後アメリカで
- 対話を通じて自発性を引き出す。
- 目標を達成できるよう動機付けしていく。
- コミュニケーションの手法。
コーチングでやる気を出させる |
ではもう少し具体的にコーチングとは何だろうか。「その人が必要とする答えは、すべてその人の中にある」という言葉が全てを語っている。相手の問題を自分で解決できるように導くコミュニケーション方法とでも呼べばいいだろうか。
つまり子どもが受験勉強に身が入らなかったら、ただ「何で勉強しないの。今から2時間やりなさい。」などと一方的に押しつけるのではなく、勉強できない原因に気づかせ、どうしたらやる気になるのかを自分でみつける手伝いをすることだ。では具体的方法を見ていこう。
コーチングのスキル<聴く>
最初のスキル(技術)は「聴く」だ。ポイントは- 子どもの話を遮らない。
- 子どもが話している時には批判・判断を交えない。
相手の話をどう聴く? |
<一般的なケース>
親「今日のテストはどうだったの?見せて。」
子「はい、これ。」
親「まあ、図形が全然ダメじゃないの、ちゃんと予習・復習して行ったの?」
子「学級会で遅くなって帰ってすぐ塾に行ったから…」
親「そんな言い訳してもダメ。昨日の内にやっておかなかったからでしょ。」
と、まあ普通ありがちな場面である。これを「聴く」スキルを使うとどうだろうか。
<コーチングを応用すると>
親「今日の勉強はどうだった?よく解った?テストあったんだっけ、見せてくれない?」
子「はい、これ。」
親「すごーい!1番の一行問題ぜんぶできてる。計算の練習ちゃんとやってるんだね。あら、図形は苦手なところだったのかな?」
子「今日は学級会で下校が遅れちゃったから、予習できなかったんだ。(*1)」
親「そうか予習する時間がなかったんだ(*2)。みんなもできなかったのかな?(*3)」
子「昨日は塾がなかったから、昨日やった子もいたみたい。僕もそうすればよかった(*4)。」
親「そうだね、時間のある時にやった方がいいね。」
上手くできれば上の例のように、どうすればよかったか自分で気づくことができる。これが「答えは自分の中にある」ということだ。
ポイントは*1で子どもが「予習できなかったんだ」と言ったことに対して「そうか予習する時間がなかったんだ」と子どもの言ったことを、*2でなぞって繰り返していること。これによって自分の言ったことが受け入れられているという実感を持てるのだ。
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