今回は「考える力」と、その受験生の生活環境がいかに教養高いものであるかを試す問題を取り上げよう。この問題に取り組むと、いかに常日頃の生活環境が受験に影響を及ぼすかが、わかって頂けると思う。
攻玉社平成14年国語第二回より
〔問一〕
次の各文の太字と同じ意味の外来語を、指定された字数で答えなさい。ただし、その外来語に使われている字は、下のマス目から選びなさい。一つのマス目の字は一回しか使えません。
- 訓練を欠かさない。(6字)
- さまざまなことに挑戦する。(5字)
- 好きな人に恋文を出した。(5字)
- 意思の伝達の手段が便利になる。(9字)
〔問二〕
問一でマス目から選んだ字の残りの字を並びかえて、外来語(5字)を一つ作り、その外来語の意味としてふさわしいものを、後から選び記号で答えなさい。
- ア さまざまなものを生み出すこと
- イ 暴力に訴え自分の要望を通そうとする傾向
- ウ 仕事などの面で男女が平等であること
- エ 他社に対して自分が劣っているとする考え
- オ 規則的に繰り返されたり、連続したりすること
攻玉社平成14年国語第二回 解説
〔問一〕入試問題を解く |
小学生に求められる外来語の知識としては難しいが、中学受験生にとっては十分基礎的問題と言える。1.「トレーニング」2.「チャレンジ」は勉強つながり?問題集や参考書、進研ゼミでおなじみ。男子校受験生に3.「ラブレター」と書かせるあたり、お茶目な出題者である。授業で生徒にこの問題をやらせたら、大騒ぎする光景が目に浮かぶようだ。この中では唯一、4.「コミュニケーション」がやや難しいかも知れない。
〔問二〕
残った5文字「テ、ズ、リ、ム、ロ」を並べ替えるわけだが「テロリズム」という言葉を知っているかどうか。短縮形の「テロ」はよく聞く言葉だが、「テロリズム」はある程度硬い文章やテレビ番組を見ていないと知らない可能性がある。問題作成に9.11が影響したと思うのは考えすぎか。
週刊こどもニュースあるいは報道ステーションやニュース23を見ていたり、新聞を読んでいるか、フランス革命やロシア革命での暴力革命主義について学校や塾で聞いたことがあるなど、小学生でもこの程度のことは知っていてもらいたいという出題者の意図が含まれているのではないだろうか。
仮に知らなくても意味の通ることばを作ろうとすれば「リズム」が先にでき、残った「テ、ロ」と組み合わせれば、語呂から「テロリズム」「リズムテロ」のどちらかで、「テロリズム」って聞いたことあるなと正解できる。いずれにせよ、攻玉社受験生はここで落とすようなことはないはず。大学生に聞いた方が正解率が低いかも知れない。(何しろ世界地図でアメリカの一を正しく示せない大学生がいるくらいだから。)
もうすぐ中学生にならんとする「小6生なりの教養」が問われるのが最近の中学受験なのだ。机に向かって勉強だけしていればよいのではなく、時事問題にも関心を持ち家庭で話題にしておきたい。
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