本作は韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師 ~38師機動隊~』をベースにした作品。生真面目な公務員と天才詐欺師が手を組んで、とある権力者を詐欺にはめるというスリリングなコンゲーム映画です。
今回は上田監督にこの作品の撮影エピソード、そして監督のキャリアから影響を受けた作品についてもインタビューしました。
原作ありの実写長編は初めてで
――『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(以下、『アングリースクワッド』)は、韓国ドラマをベースにした作品だそうですが、リメイクするにあたり、韓国のドラマ制作側から何かリクエストはありましたか?上田慎一郎監督(以下、上田監督):なかったですね。プロットの段階で一度チェックしていただき、その後、脚本が完成したときにもチェックしていただいているのですが、リクエストもありませんでしたし、NGもありませんでした。
――ではオリジナルのドラマに縛られることなく、比較的自由に制作することができたんですね。
上田監督:そうですね。ただ僕は原作のある実写長編を手がけるのは初めてなんです。また全16話の連続ドラマを1本の映画にするので、どこを切り取ってストーリーを作り上げていくのかという点は悩みました。共同脚本の岩下悠子さんとプロット作りを1、2年かけて行い、岩下さんに初稿から5稿まで執筆いただき、その後を僕が引き継ぎました。
連続ドラマ6話くらいまでの“権力者を成敗する”という物語をベースにすることは早期に決まったのですが、何を削って、どこにオリジナルの要素を入れるのかなど、ああでもないこうでもないと考えて、6稿を書き上げた時点で、内野聖陽さんに出演依頼をしたんです。
内野聖陽さんと脚本作りからガッツリ組んだ!
――主演の内野聖陽さんのキャスティングは監督が決めたのですか?上田監督:主人公の熊沢役は内野聖陽さんにお願いしたいとプロデューサーに相談して、出演を依頼しました。
僕はこれまで、実力はあるけれどメジャーではない俳優たちと作品作りをしてきたので、内野さんのようなメジャーな俳優たちと同じような作品作りができるのだろうかという一抹の不安はありました。でも内野さんとお会いしたら「撮影前からガッツリと肩を組んで一緒に作りたい。それができるのなら出演します」とおっしゃってくださり、脚本を読んでもらい、引き受けていただけることになりました。
――では撮影前から、内野さんとは打ち合わせを重ねていったのですね。
上田監督:内野さんとは何度も会って、打ち合わせを重ねましたね。妥協を許さない人なので、徹底的に話し合って脚本をブラッシュアップしていきました。
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