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『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』上田慎一郎監督が語る、主演・内野聖陽とのアツい舞台裏(3ページ目)

『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督の最新作『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』がいよいよ公開です。そこで上田監督にインタビュー! 撮影の裏側、上田監督が影響を受けた映画などについてお聞きしました。 ※サムネイル画像:(C)2024アングリースクワッド製作委員会

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

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タランティーノ監督と岩井俊二監督から刺激を受ける 

上田慎一郎監督

完成披露試写会に登壇した監督。本作は企画から映画完成まで6年かかった(C)2024アングリースクワッド製作委員会

――上田監督のキャリアについてお話を聞きたいです。学生時代から自主制作映画を撮影されていたそうですが、そのときから映画監督を目指していたのですか?
 
上田監督
:中学時代から親父のハンディカムを借りて、放課後、友達と映画もどきの作品を撮っていたのが最初です。でも当時はあくまで趣味の範囲でやっていました。将来、映画監督になりたいと思ったのは、高校生のとき。進路相談で将来について考えたことがきっかけで、映画監督を職業として意識しました。
 
映画作りは楽しいし、周りに褒められるから、これを仕事にできればそれが自分にとっては一番いいと思ったんです。
 
――影響を受けた監督や作品はありますか?
 
上田監督
:それはもうたくさんいますが、本当に映画が好きになったのはクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』です。そのほかにもポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』、ガイ・リッチー監督の『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』あたりですね。高校生くらいのときに、これらの映画に出会って、映画好きになりました。

――タランティーノ監督の作品など、どこが上田監督の琴線に触れたのでしょうか?
 
上田監督
:それまではハリウッド大作が好きで見ていたのですが、タランティーノ監督の映画は、これまで見てきた映画と違う、すごく自由な感じがしたんです。思春期なので「ほかとは違う」という価値観がかっこいいと思っていたのかもしれませんね。
 
――日本映画で刺激になった作品はありましたか?
 
上田監督
:岩井俊二監督に傾倒していました。『リリイ・シュシュのすべて』が好きで、『リリイ・シュシュのすべて』的な暗い映画を自主映画として作ったこともあります。あと『花とアリス』も大好きですね。

――『花とアリス』はかわいい映画ですよね。
 
上田監督
:『花とアリス』は上映館数が少なかったので、かなり遠くの映画館まで遠征して見に行きました。蒼井優さんが大好きだったんです。1回目の上映が終わった後、すぐ2回目のチケットも取って2回連続で見ました。
 
そういえば『花とアリス』のメイキングの特典が付いたチョコレート菓子があったんですが、その特典をヤフオクで落札して手に入れたりしていましたね(笑)。
 
――監督の映画に出演してくれたら最高ですね。
 
上田監督
:そうですね。2019年に日本アカデミー賞話題賞をいただいたとき、蒼井優さんが司会だったんです。会場でばったりお会いしたとき、「受賞おめでとうございます」とおっしゃっていただいて……もう夢かと思いました(笑)。
 

目の前のことに全力でぶつかるだけ!

『アングリースクワッド公務員と7人の詐欺師』

税務署チームの3人 (C)2024アングリースクワッド製作委員会 

――今後の映画作りについて考えていることはありますか?
 
上田監督:
正直にいうと先のことはあまり考えていなくて、目の前のことに全力でぶつかってきた結果、今ここにいるという感じなので、今後もやるべきことを全力でやるだけです。
 
もう次の脚本も書き始めていますし、とにかく目の前のことを着実に形にしていきたい。また僕は衝動的な行動も多いんです。縦型ショートフィルムの『レンタル部下』も、実際に存在するサービスを知ったことがきっかけでスタートしましたから。
 
――カンヌ映画祭「#TikTokShortFilm コンペティション」でグランプリを受賞されましたね。
 
上田監督
:狙って作ったわけではないのですが、こうして多くの人に見ていただき、評価されて、仕事の幅が広がっていくのはありがたいと思います。でも、とにかく今は『アングリースクワッド』を多くの人に届けたい、見ていただきたい、その一心です!
 

上田慎一郎(うえだ・しんいちろう)監督のプロフィール

1984年4月7日生まれ。滋賀県出身。

2009年に映画製作団体を結成。2018年『カメラを止めるな!』が大ヒット。第42回日本アカデミー賞話題賞、第61回ブルーリボン賞作品賞など多くの映画賞を受賞。2019年『イソップの思うツボ』(共同監督)『スペシャルアクターズ』が公開。近作は『100日間生きたワニ』『DIVOC-12』(2021)『ポプラン』(2022)。2023年、カンヌ映画祭「#TikTokShortFilm コンペティション」でショートフィルム『レンタル部下』がグランプリを受賞した。
 

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』2024年11月22日より全国ロードショー

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』完成披露

(C)2024アングリースクワッド製作委員会

税務署に務める真面目な公務員の熊沢二郎(内野聖陽)は、ある日、天才詐欺師・氷室マコト(岡田将生)の罠にハマり、大金を奪われてしまう。ところが親友の刑事の活躍で氷室を突き止めた熊沢に対し、氷室は、熊沢が追っている権力者を詐欺にかけ脱税した10億円を取り戻してあげると提案し、税務署員と詐欺師がタッグを組むことに!
 
監督:上田慎一郎
脚本:上田慎一郎、岩下悠子
出演: 内野聖陽、岡田将生、川栄李奈、森川葵、後藤剛範、上川周作、鈴木聖奈、真矢ミキ、皆川猿時、神野三鈴、吹越満、小澤征悦
原作:『Squad38 (38사기동대)』/邦題『元カレは天才詐欺師 ~38師機動隊~』
(C)STUDIO DRAGON CORPORATION created by Han Jung-Hoon distributed by CJ ENM Co., Ltd
 (C)2024アングリースクワッド製作委員会
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