高齢のおひとりさまにとって「入院や介護施設に入る際、身元保証人を求められたらどうしよう……」という悩みを持つ方が多いのではないでしょうか。
民間の身元保証サービスを利用するにしても「費用が高い」「トラブルがあったらどうしよう」など悶々と悩むケースもあるでしょう。今回は、身元保証人が必要だけど、その前に相談できる窓口、自分でできる備えなどについて紹介します。
身元保証支援サービスとは?
身元保証サービスは、主に家族のいないおひとりさまの身元を保証するサービスです。身元保証サービスを行う会社はたくさんありますが、それぞれ提供する内容は異なります。そのうち主なサービスは以下の通りです。【主な身元保証支援サービス】
・病院への入院・高齢者施設への入居時の身元保証・身元引き受け
病院に入院したときや高齢者施設に入居した際の身元保証、退院・退院することがあれば身元引き受けも行います。手術が必要な際の立ち合いなどのサービスもあります。
・緊急時の対応
自宅で生活していて倒れることがあれば駆けつけてくれるサービスです。高齢になり持病がある場合でも、緊急のときに対応してくれれば自宅でも安心して生活が送れます。
・亡くなる前後の手続き
延命治療や終末期医療について事前に本人の意思を示しておけば、意識を失った後や判断能力を失った後、意思どおりのサポートが受けられます。また、死後の葬儀・埋葬の手配、行政手続き、利用していた各種サービスの解約、遺品の整理、相続の手続きも代行してもらえます。
身元保証支援サービスの相談ができる窓口
身元保証支援サービスについて悩んだら、以下の窓口を利用しましょう。●地域包括支援センター
「地域包括支援センター」は、自治体が設置しており、高齢者を支えるためにさまざまな相談に応じてくれる施設です。介護が必要になったとき、成年後見制度の利用を検討するとき、医療機関への連携やケアプランの作成なども相談可能です。身元保証や介護サービスの利用、財産管理について悩んでいる場合は、まずこのセンターを訪れてみましょう。
地域包括支援センターはすべての市町村に設置されており、全国に5431カ所(総合相談窓口(ブランチ)・サブセンターを含めると7397カ所※令和5年4月末)もあるので、気軽に相談できます。「いきなり弁護士や司法書士に相談するのは気が引ける」と感じる方でも気軽に訪ねられるのが魅力です。
参照:【HP掲載】2023地域包括支援センター
●独立行政法人国民生活センター
すでに身元保証支援サービスについて契約を進めている場合や、契約内容に不安があるときには、国民生活センターが力になってくれます。国が運営する国民生活センターでは、高齢者サポートサービスの契約に関する相談が寄せられており、「高額な契約をしてしまった」「解約時の返金額に納得できない」といった具体的な相談に対応しています。
事前に内容を十分に理解して契約を進めることが大切ですが、もし不安や疑問がある場合は、お住まいの自治体が運営する消費生活センターなどに相談しましょう。
消費者ホットラインは「188(いやや!)」番です。
参照:身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意(発表情報)
自分自身でできる備えの大切さ
身元保証サービスは便利ですが、自助努力で日常から備えておくことも重要です。例えば、普段から近所の人や親戚、友人と交流を持ち、信頼関係を築いておくと、いざというときに頼れる人が増えます。また、地域のコミュニティーや趣味のサークルに参加するのもおすすめです。身元保証の問題だけでなく、生活の中での支えになるでしょう。こうした日常的なつながりを意識しておくことで、急に入院が必要になった場合などに保証人をお願いできる可能性も高まります。おひとりさまの生活は孤独に感じがちですが、自分の行動次第で支えてくれる人々との関係が築けるのです。