最近読者から「数学的なセンスをどうやって伸ばしたらいいですか?」という質問を受けました。考えてみると数学に強くなるには「センス」が大事とよく言われますが、それは一体どのような物でどうやって伸ばしたらよいのでしょうか。今回は算数の勉強法について考えてみました。
目次
1.計算を反復練習すればOK?
2.ノートを見よ

計算を反復練習すればOK?

数学的センスが必要と言われる時には、「計算だけできてもダメ」という意識があると思います。しかし昨今では陰山メソッドに代表される「反復学習による計算力UP」が学力向上への近道と言われてきています。ではこの両者は相反するものなのでしょうか。

スポーツ選手にとって基礎トレーニングは重要です。例えばサッカー選手。イタリアのセリエAで活躍するトップレベルの選手達は、トラップ、ドリブル、様々なキックが実に正確だそうです。それは彼らが子供の時から基本練習を繰り返し行ってきたからです。どんなに独創性があってもイメージ通りにプレーできる技術がなければ一流のプレーはできません。

数学でも、まず基本の四則演算ができなければ応用問題は解けません。計算するのがやっとという状態では応用問題をじっくり考える余裕も生まれません。ですから計算力を反復練習でつけることには大いに意味があると思います。

逆に計算力さえあれば文章題等の応用問題が解けるかというと、もちろんそうではありません。最近読んだ本の中に犬山市での調査について、次のようなことが書かれていました。

子供が算数の問題を解く様子を観察により調査したところ、これまでの指導法がスキル重視になっていることが分かったそうです。具体例でいうと、整数・小数・分数を数直線上に並べる問題を出すと、整数と1より大きい小数(例えば3と4.6)は正解率が高かったものの、1より小さい小数や分数の誤答が多かったそうです(同0.3,8/5,3/4)。しかしながら分数同士の計算はできる子が多いことから、「計算のスキル」は身に付いていても「小数、分数の意味」が理解できていないと言えます。

同様に分数の計算ではかけ算・割り算よりも足し算・引き算の方が誤りが多く、これは通分が必要な足し算・引き算の方が計算が複雑になることからです。しかし意味で考えてみれば分数の乗算はまだしも、分数での除算の概念を理解することは子供にとって、非常に難しいはずです。

この概念理解ができていないために、先の数直線上で分数を表せないということが起きているのだと考えられます。学校において限られた時間の中で学習を進めていくと、どうしても理屈はさておき、計算はこうやるという指導になってしまいがちと、先の調査結果を見て犬山市の教育委員の一人は言っています。

数学というのは元来抽象的な思考が求められるもので、その部分がおざなりにされていると数学的センスなど育ちません。プロセス重視の思考法こそが数学的センスの育成に必要なものです。

「ゆとり教育」では学習内容を減らすことで内容理解を深めるはずでしたが、授業時間も減らしてしまったために、本来の目的が果たせなくなっています。従って私たち親が家庭でできることは、「何故、どうして」そうなるのかという視点を子供に与えることではないでしょうか。

(下)に続く。6月中旬UP予定。もう少し具体的な方法について書くつもりです。
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