新学習指導要領導入、いわゆる2002年ショックで学力低下が問題になっています。しかしもっと深刻なのは学力ではなくコミュニケーション能力の低下だといいます。東京私立学校展でもらった小冊子の中で広島にある私立学校の校長先生の言葉を一言にまとめるとそうなります。

 核家族で一人っ子が多い現代家庭では、他人と体をぶつけ合って争ったり妥協したりする経験が乏しくなります。遊びも集団での遊びから友達と一緒でもTVゲームをするなど個の遊びになりがちです。

 思春期になって、あるいは成人して社会に出てから他人との摩擦が起きると、そこから逃避したり攻撃的になったりと極端な行動を取ってしまう人が増えているのもそのためでしょう。

 30年ほど前にはあった、社会で子供を育てる環境は今はなく、家庭も学校も地域社会も教育力を低下させてしまっています。そんな中で学校には単に学力の獲得だけが求められているのではありません。

 よく私立学校への批判として「フィルターを通った子供しかおらず、多様な家庭環境の子供達と触れ合う機会がなく温室育ちになってしまう」というものがあります。しかし逆に幾ら多様な子供がいても授業すら成り立たない学校ではその機能を果たすことはできません。

 先の小冊子では校長先生が危機感を持って語っておられるのがよく分かりました。そしてご自分の学校では、それに対してこうやって行くんだという信念や方針を持っておられます。翻って公立学校の校長先生は現在の教育の現状を同じように捉えていらっしゃるのでしょうか。また同じ危機感をお持ちでも打開策を実行する権限や予算があるでしょうか。

 残念ながらかなり厳しい状況だと思います。教育委員会や文科省に規制されていて自由裁量で学校を運営することは許されていないからです。そこが公立と私立の大きな違いです。

 冒頭に「脱・偏差値宣言」と書いたのは、偏差値で序列付けされた進学実績では表されない要素が私立学校にはあるということです。進学実績がそれほどでなくても子供に素晴らしい体験をさせてくれる学校もあります。運動に力を入れている学校もあれば、ボランティア活動を取り入れたり稲づくりをしたり。障害のある子供達のクラスを併設して、一緒の活動を通じて人の多様性を自然に受けとめる教育をしている学校など。

コミュニケーション能力で言えば、普段から子供からの発表を引き出し、テーマからそれている発言でも否定しない指導をする学校や、小学生でも「~さん」と呼んで一人の人間として扱う学校、ディベートを取り入れて自分の言いたいことを表現できる指導をする学校など様々です。こういった指導を担任の先生個人が行うのではなく、学校全体で取り組んでいるところが大きいと思います。

 志望校選択時にはこういった要素も是非検討して頂いて、学力のみならず人間性を伸ばすという面での私立学校の良さを知って頂けたらと思います。

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