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2002年度新学習指導要領導入による悪影響を論じた本で、ゆとり教育の問題点の入門書としてはこれ一冊読めば十分な内容です。現代化カリキュラム以降のゆとり教育と大学入試の変化、私立学校の隆盛の理由がよく分かります。
教育に対する関心の持ち方で日本にも階級社会がやってくると警告しています。公教育で育った親世代は自分の時代と今の違いを知るために一読を。
▼講談社文庫【自分の子どもは自分で守れ】高木幹夫
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円周率が3!?というキャンペーンを大々的に張った日能研代表の著書。これで日能研は変節したと一部で非難も浴びています。それは本書を読むと分かりますが、文科省の言うとおりではないものの、結果的にこの教育改革はプラスになるという立場に立っているからです。2002年ショックは教育の自由化と捉え、前向きに考えようと他のゆとり教育批判論者とは異なる主張が展開されています。こんな考え方も有りかなと読む価値はあります。
▼ジーオー企画出版【中学受験絶対合格】成田昭博
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店頭で見たときにオーラを感じて思わず手にとってしまいました。タイトルと装丁にひかれました。内容は予想にたがわず良い本でした。著者の成田氏は実際の中学受験指導者なので、生徒寄り、親寄りの立場で書かれています。中学受験に否定的な書き方は一切無く、どうせするなら前向きに肯定してやろうという姿勢が、どこか後ろめたさを感じながら中学受験を考える親には頼もしく感じられます。
現役の指導者だけに、実践的な内容で新6年生だけでなく中学受験を考え始めた親御さんに読んで頂きたい本です。点数UPのための「F-15」作戦や「生ビール」作戦などユニークで実用的なテクニックもありますし、入試直前45日前からのすごし方も、とても参考になります。
「F-15作戦」というのは、高価なF-15戦闘機の整備の方法を名付けたものです。目と耳と身体で確認してミスを防ぐことから来ていて、入試問題でも条件文などに線を引きながら、声に出して文を読み解くことで間違いが減り、成績が上がるという方法です。このような実用的なアイディアも盛り込まれていますので大変お勧めです。
▼宝島社文庫【「小学校」絶体絶命!】別冊宝島編集部
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第一部 「公教育」は崩壊したか
第二部 現場教師が語る「小学校でいま起きていること」
第三部 「ゆとり教育」は「勉強できない子」を生み出した?
と様々な著者が今の小学校を中心とする教育について書いています。ゆとり教育の問題点を評論家的視点からだけでなく、現場の教師の口から語られています。これを読むとこのままでいいのかと心底不安になります。